2018春号:opinion《平昌五輪が始まった。》一之瀬 明

一之瀬 明さんの寄稿です。

年金生活者の身では、悲しいかな、華やかなオリンピックを見に韓国を訪れることはできない。最も経済的な余裕があっても、あの寒さでは、とても行く気にはなれないのだが。
「やせ我慢」でそうしておこう。何しろ「エンゲル係数が生活を圧迫」しておるのでな。
ところがこのオリンピック、ハナっからとんでもなく政治的な装いになっている。
ご承知のように、南北朝鮮が合同チームで開会式に参加入場してきた。会場はテレビの中継で見ていても、感動の嵐だった。北朝鮮の要人たち、韓国の大統領、そして会場を埋め尽くした観衆。
私たちの国、時には「単一民族」などと思い違いをしている政治家を抱える日本の隣国が分断国家で、先の戦争と朝鮮戦争の結果、今なお分断したまま「戦争状態」にある隣国に、この開会式の興奮とともに、悲劇を抱えている事実を、世界中の人々の心に刻み込まれたことだと信じたい。
オリンピックは、スポーツの祭典であると同時に平和の祭典である。
これを機に隣国の抱える悲しみと矛盾を理解する機会としたいものだ。どこかの馬鹿が言うような「圧力一辺倒」でなく。