2018春号《びえんと 新米記者の赤軍派事件》Lapiz編集長 井上脩身

新米記者の赤軍派事件
――よど号事件に思う――
私は大阪の大手デパートの文化教室で、文章講座の講師をしている。今年1月の講座で、Oさんが「針の莚」と題するエッセーを書いた。ある赤軍派事件の実行犯の母親の辛さ、悲しさに思いを寄せてつづった一文だ。赤軍派によるよど号事件が起きたとき、わたしは新聞社で新人研修を受けている最中だった。講義では刻々と動く事件の様相がそのまま教材になり、新聞社の仕事がいかに時間との闘いであるかを、否が応でも実感した。講義が終わると飲み会になった。話題は当然よど号事件。「北朝鮮が本当に幸せな国なのだろうか」と、その場にいたベテラン記者に問いかけたことを覚えている。平昌オリンピックに北朝鮮が参加し、女子アイスホッケーでは合同チームが組まれた。韓国、北朝鮮双方の政治的思惑が一致した一時的融和との見方が強く、民族統一への道のりは遠い。ハイジャック犯たちが北朝鮮に行く意味は何だったのか。あと2年でよど号事件から半世紀になる。 “2018春号《びえんと 新米記者の赤軍派事件》Lapiz編集長 井上脩身” の続きを読む