Lapiz2017冬号から《日光街道草加宿 》:井上脩身

煎餅かじり芭蕉をしのぶ街
「草加せんべい」で知られる埼玉県南部の草加市。都心から電車で30分のベッドタウンだ。人口約25万人のこの町は江戸時代、日光街道の宿場町として栄えた。お茶屋で一休みする旅人に名物のせんべいが好まれたという。松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出たとき、千住宿についで2番目の宿場である草加宿に「ようようたどり着いた」としたためた。日本橋から北に約16キロ。芭蕉はここに最初の宿をとったのだろうか。草加せんべいをかじりながら芭蕉の足跡をたどってみよう。そんな思いにかられて11月初旬、草加を訪ねた。