2018autumn《徒然の章》中務淳行

この夏は災害が多かった。6月には大阪北部地震があった。この地震で高槻市で小学生の女の子がブロック塀の下でなくなった。この朝、共稼ぎの娘の家で孫の登校を見送った。通学路にはブロック塀がある。マンションの6階から一年生が通学するのを見た。その10秒ほど後に地震があり、大きく揺れた。学校に入るまでは見とどけたが、教室まで行って、普段のように子供たちがたくさんいたので、ホッとして帰宅した。我が家までは私鉄で一駅だが、電車は動いていなかった。歩いて帰っていると電車が踏切で止まっている。大きく迂回しようとしたところに電話、「学校が休校になったので迎えに行ってほしい」。すぐにUターンした。 “2018autumn《徒然の章》中務淳行” の続きを読む

2018autumn 編集長が行く《狭山事件の現場周辺を歩く》井上脩身

――55年前を覆い消す新興住宅地――

今年5月18日、新聞の一面を使って意見広告がだされた。「決めての証拠ねつ造が明らかに、と大きな見出しが躍り、「東京高裁に鑑定人尋問を求めます」との要望が大きな活字で書かれている。狭山事件の再審を求める意見広告だ。このページの左隅に「獄友」と書かれたパンフレット写真が載っていて、その横に「映画『獄友』の自主上映を」の小さな見出しがついている。獄友というのは狭山事件の犯人とされた石川一雄さんら5人の冤罪被害者のことだ。私は6月初め、横浜の映画館で『獄友』を見た。「無罪を勝ちとるまで死ねない」とジョギングで体力をついえる石川さんが印象的だった。この2週間後、狭山事件の現場周辺を歩いた。 “2018autumn 編集長が行く《狭山事件の現場周辺を歩く》井上脩身” の続きを読む

2018autumn《憲法「改正」は日本をどこへ導くか。》松岡正喜(年金生活者)

憲法を変えようとする人たちの運動が進められている。国会でも、巷でも。国会では自民党は党是だからといい、公明党は与党勢力の一員という立場で加憲的「改正」を唱え、それに賛同する維新は学費無償化などを書き込むという。 “2018autumn《憲法「改正」は日本をどこへ導くか。》松岡正喜(年金生活者)” の続きを読む

2018autumn原発を考える《相変わらずの原発神話なのか》山梨良平

原発の重大事故のリスクから目をそらす政府の姿勢に疑問と怒りを覚える。あのフクシマの事故はいったい何だったのか。先に内閣府原子力委員会の専門部会が、原発事故に伴う賠償の仕組みを定めた原子力損害賠償法について、事前に備える賠償金(賠償措置額)を現行の最大1200億円で据え置く方針を示した。秋の臨時国会に原賠法改正案を提出する見通しだという。
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2018autumn原発を考える《帰還でも戻らないふるさと》井上修身

『福島第1事故7年 避難指示解除後を生きる』に紹介された避難指示解除後の現実に、千葉地裁での原発訴訟の弁護側主張と柳田邦男氏のコラムを重ね合わせると、避難指示解除後も「ふるさと喪失」状態が続いていることがわかる。逆にいえば「ふるさと喪失」状態を放置したまま、政府は帰還を急いだのだ。
同書は海が汚染された漁港の悩みも取り上げている。寺島氏は、安倍首相がオリンピック招致演説で汚染水について「アンダーコントロール」と国際公約したことに焦点をあて、「公約の手前、オリンピックの前に福島第一原発が抱える問題の目に見える解決や復興ぶりを見せたいというのが政府の本音ではないのか」と指摘している。 “2018autumn原発を考える《帰還でも戻らないふるさと》井上修身” の続きを読む

2018autumn opinion 《頭が腐ると・・・ 》一ノ瀬明(年金生活者)

劣化してきているという見方が最近になってよく聞くようになった。もともとご本体の首相が嘘と不誠実の塊のような御仁だから、その周りに集まる連中も、推して知るべしというところか。 それにつけても、霞が関の(優秀だったはずの)官僚たちまで、腐ってきていると思うのだが。 “2018autumn opinion 《頭が腐ると・・・ 》一ノ瀬明(年金生活者)” の続きを読む

2018autumn びえんと《非業に倒れた政治家・山宣 ―暗黒政権下の抵抗魂― 》Lapiz編集長 井上修身

今年3月、東京の中学校で行われた性教育授業に対し、自民党の都議が「不適切」と都議会で発言したことが、「教育への不当介入」との批判を受けた。この報道に私は「山宣」を思いだした。労農党衆議院議員、山本宣治である。治安維持法の改変阻止運動をしていた1929(昭和4)年、右翼の暴漢に暗殺された。その山宣の不屈の生涯を描いた映画『武器なき斗い』を61年冬、高校1年生だった私は大阪の映画館で見た。 “2018autumn びえんと《非業に倒れた政治家・山宣 ―暗黒政権下の抵抗魂― 》Lapiz編集長 井上修身” の続きを読む

2018autumn 《 巻頭言》Lapiz編集長 井上修身

袴田事件の再審請求について東京高裁は6月11日、請求を棄却する決定をしました。静岡地裁の再審開始決定を取り消し、袴田さんの死刑確定判決を維持するものです。私はこの決定に対し、強い憤りをおぼえます。袴田事件の証拠をつぶさに検討すれば、冤罪であることが明らかだからです。再審の根本精神は「無辜の救済」。東京高裁の裁判官は「罪なき人を罰してはならない」という司法の余りにも当然の基本をかなぐり捨て、いったん決めた裁判をなにがなんでも守るという頑迷な態度に凝り固まっているようです。 “2018autumn 《 巻頭言》Lapiz編集長 井上修身” の続きを読む