2018autumn原発を考える《相変わらずの原発神話なのか》山梨良平

原発の重大事故のリスクから目をそらす政府の姿勢に疑問と怒りを覚える。あのフクシマの事故はいったい何だったのか。先に内閣府原子力委員会の専門部会が、原発事故に伴う賠償の仕組みを定めた原子力損害賠償法について、事前に備える賠償金(賠償措置額)を現行の最大1200億円で据え置く方針を示した。秋の臨時国会に原賠法改正案を提出する見通しだという。
 すでにフクシマの事故の賠償金は8兆円にものぼっている。それなのに「最大1200億円」というのは実に現実を無視し、実に国民を馬鹿にした金額だ。

なぜこのようなことが行われたのかは明白だ。事故の責任を負いたくない電力会社が政府に妥協させた結果だと考える。そこには国民の生活の安全という視点は全くない。ただただ電力会社の経営の安定を第一に考えた結果である。

例えば北陸電力や北海道電力、また四国電力のように、東京電力に比して経営規模の小さな電力会社では、万一の場合経営破綻は免れないだろう。そうなれば被災者への補償もままならない。おまけに国の税金で賄う補償は際限なく膨らむ危険がある。
このようなリスクを抱えたまま「再稼働に血道をあげる現政権」の見識を疑う。