旅するカメラ《穴太積みの里》片山通夫

「穴太」は「あのう」と読む。滋賀県は比叡山のふもと、日吉神社の門前町として今も栄えている坂本の在に「石垣の町」がある。いや、坂本の町そのものが石垣の町なのだ。比叡山から琵琶湖に向かってなだらかな坂の町でもある。ちなみに日吉神社はおよそ2100年前、崇神天皇7年に創祀された、全国3800余の日吉・日枝・山王神社の総本宮だということだ。
その坂本の町の近くに「穴太」という集落がある。この集落からでた石積みのプロを、古来「穴太衆(あのうしゅう)」と呼んだ。穴太衆は、日本の近世初期にあたる安土桃山時代に活躍した石工の集団。主に寺院や城郭などの石垣施工を行った技術者集団である。
 穴太衆が積んだとされる石垣は随所にみられる。例えば 金沢城、安土城、彦根城、竹田城、篠山城、角牟礼城(つのむれじょう)、高知城、洲本城などがそうである。

石垣の町・大津市坂本