Lapiz2019夏号 「時代を元号でくくってみる」 山梨良平

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 一か月前、つまり4月30日から5月1日は、さながら元号狂騒曲が国中に吹き荒れていた。よほどマスコミは「報道していい」ネタがないのだ確かに明仁上皇はその在位中は国民の痛み、特に戦争、震災などの天災に心を寄せられた。尊敬に値する行為である。
 そういう意味では、平成という時代は上皇の心ある行動で評価すべき時代だった。しかし眼を政治や社会に向けると、おぞましいまでの状況である。国民の格差は広がり、モノ言えぬマスコミはだんまりを決め込み、政権はしたい放題の時代であった。

 安倍首相は事あるごとに「明治への回帰」を話す。例えば防衛大学校(横須賀市走水)の卒業式で訓示し、憲法に自衛隊を明記する9条改正への意欲を改めて示した。「自衛隊が強い誇りを持って職務を全うできるよう、環境を整えるため全力を尽くす」と強調、憲法改正を念頭に「政治も責任を果たす」と述べた(神奈川新聞)。

 首相が危なっかしいのは、十分に憲法やその制定過程、 また先の戦争で完璧なまでの敗北を期したこと、その原因などを理解していない節があると感じられるからである。その何よりの証拠と思えるのは2013年4月27日に某イベントで安倍首相が迷彩服姿で戦車に乗り満面の笑みをたたえて手を振っている姿を写真に撮らせたことだ。
 この写真を目にした筆者は唖然としたのと同時に、安倍首相はほとんど「何も考えなしに好きなことに興じる」性格だと理解した。つまりバカでしかないということだ。

 さて元号だけで世の中をくくるのはいささか乱暴だが、あえてやってみたいと思う。
まず安倍首相など「明治回帰病」に罹病している患者たちは、例えば皇室の伝統などとほざいて、「女性天皇」はおろか「女性宮家」も認めようとしない。おそらく安倍首相たちの支持母体がウンと言わないのだろう。安倍たちはその立場を追われるのが怖いのか、盛んに「明治時代」をほめあげる。しかし女性天皇や女性宮家を否定してきたのは、たかだか150年ほど前の明治からだったと記憶する。
第33代推古天皇、第35代皇極天皇、第37代斉明天皇、第41代持統天皇、第43代元明天皇、第44代元正天皇
第46代孝謙天皇、第48代称徳天皇、第109代明正天皇 (在位1629年 – 1643年) 
第117代後桜町天皇 (在位1762年 – 1770年)

 このように少なくとも11代の天皇は女帝だった。この歴史を無視して明治以降だけが皇室の伝統などとまやかしを言っているのだ。
 そして明治という時代は、富国強兵策や殖産振興策を取り、近隣諸国、特に朝鮮、中国、台湾を侵略し、その後の太平洋戦争への道筋をつけた時代である。安倍首相などは、こんな明治を目指しているのだ。
 何よりの証拠は「北朝鮮のミサイル騒ぎ」で東京の地下鉄までも止めて危機を煽ったことである。最近のあおり運転どころの騒ぎではない。
 その点、大正時代は明治の反動なのか、「大正浪漫」や「大正デモクラシー」などと言われて、文化が花開き、知的感性を磨いた時代だったと言える。
 残念ながら昭和の前半は、治安維持法という悪法で暗く息苦しい時代だった。戦争に突入し、完膚なきまで叩きのめされて、人類初の原爆まで2基落とされ多大な被害を受けた時代でもあった。その後の発展は敗戦国からの脱出が進み、しかし、アメリカ一辺倒の政治と経済でいびつな国になってしまった。

 大雑把に時代を表現した。果たして令和という時代はどんな時代になるのだろうか。
 少なくとも新天皇陛下がいみじくも言われたように「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望」したいものだ。
 憲法を閣議で勝手な解釈変更するような下卑たことはしないでほしいものだ。
参考に憲法の一部を抜粋して紹介しておきたい。
 どこにも天皇は男子でなければならないとは記載されていない。
ただ世襲に限ると記載されている。国民の総意に基くのみである。

日本国憲法 

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
〔皇位の世襲〕
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
〔内閣の助言と承認及び責任〕
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
〔天皇の権能と権能行使の委任〕
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
〔摂政〕
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

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