Lapiz2019夏号 原発を考える「耳を疑うような話」寄稿 一之瀬 明(年金生活者)

 驚くような話が聞こえてきた。あの原子力規制委員会が、どんどん再稼働の許可を出している規制委員会が過日次のようなことを決めたという。そしてそれを発表したのだとさ。

 ご存知のない方もおられようと思うので、2019年4月25日の朝日新聞が以下のように伝えた記事を紹介したい。

 原子力規制委員会は24日、建設が遅れている原発のテロ対策施設について、設置期限に間に合わない原発に対し、運転停止を求める方針を確認した。電力会社の求めていた期限延長などは認めなかった。すでに再稼働した関西、四国、九州の3電力の5原発9基は、期限を迎える2020年以降に順次、運転停止を迫られる。

当然のことながら電力会社側は期限の延長などを申し入れた。しかし「工事が著しく遅れるような自然災害や経済状況の変化はなかった」などと指摘が相次ぎ、設置が間に合わなくてもすぐに深刻な事態が起きるリスクが高まるわけではないとした上で、「不適合状態の原子炉の運転を看過することはできない」と電力側の意向を退けた。」
 この決定が実際に行われると、来年から順次運転停止になる発電所が出てくるわけである。

 驚くべきは、電力会社が「再稼働優先」でテロの安全対策を怠っていたことである。先ごろ、スリランカで大規模なテロ事件が起きたことは記憶に新しい。あんなテロ事件が原発で起きないという保障をだれがしているのだろう。東日本大震災が起きて福島第一原子力発電所の惨事をだれが責任を取ったのか。東京電力といえども、国民の税金から驚くべき額を引き出している状況で、なおテロ対策を怠っているというのには恐れ入るばかりだ。
 安倍首相も「北朝鮮からミサイルが飛んでくるぞ」とばかり言っていないで、電力会社の尻をたたくべきだ。