百鬼夜行夜話 004「小野篁、閻魔庁でアルバイト」片山通夫

六道珍皇寺

 

小野篁が閻魔庁で夜な夜なアルバイト、つまり閻魔大王の補佐官のようなことをしていたことは前回書いた。彼が朝廷の館から閻魔庁へ行くには、「六道の辻」という辻を通って行った。その六道の辻は京都東山に今も実際に存在する。その場所こそあの世とこの世の分かれ道である。

 

 

篁が閻魔庁へ出入りしていたという井戸

平安時代以前から京都では人が亡くなると今のように火葬や埋葬はせずに鳥葬が行われていた。野ざらしで鳥がついばむという鳥葬だ。つまり朽ちるの任せたわけである。しかし都から遠い地では何かにつけて大変である。それで都の外側だが近い場所が選ばれた。その一つが東山の鳥辺野(とりべの)である。鳥辺野の入口を現す六道の辻の碑が建てられた。ここから先はあの世だということを明示したわけだ。
篁はこの六道の辻から六道珍皇寺に入り、境内奥まったところにある井戸から冥府の閻魔大王庁に出仕したと言われている。残念なことに、篁は閻魔庁の様子や自身のアルバイトのきっかけなどは書き記していない。もうお亡くなりになられた落語家の桂米朝師匠の「地獄八景亡者の戯れ」をお聞きください。閻魔庁の様子をはじめあの世の様子が推し量られる。

京都の三大風葬地は「化野(念仏寺で有名)」「蓮台野(れんだいの)」そして最大の「鳥辺野」である。

今一つ。美人で有名な小野小町は篁の娘とも孫ともいわれているが定かではない。