百鬼夜行夜話 012「九尾の狐 05」片山通夫

九尾の狐

さすがの妖狐も神鏡の威光に恐れをなしおとなしくなった。しかし妖狐もさるもので十数年後には復活し、悪事を重ねるようになった。そこで朝廷は安倍泰親らを那須野が原へ遣わして妖狐退治を命じた。、那須野が原に着いた泰親のは祈祷を行った。その時、天が俄にかき曇り、天地は鳴り動き、稲妻が頻繁に起こったかと思うと、妖狐の屍は大きな石にと変ってしまった。
石と化した妖狐の怨念は数百年後も石に宿り怨念は残り毒気を放ち、石に近づく人間やケモノ、石の上を飛ぶ鳥さえも悉く死に至らしめたので、人々はこの石を「殺生石」といって恐れおののいた。

かくも九尾の狐は恐ろしい。(完)