百鬼夜行夜話 019「鵺の鳴く夜は恐ろしい 03」片山通夫

源頼政 鵺退治の図

『平家物語・巻4・鵺の事』によると、源頼政は二度鵺退治をしている。
一度目は近衛天皇在位の時、毎夜、丑刻(午前二時頃)になると東三条の森の方から、黒雲が沸き立って御所を覆い、鳥の鳴くような奇妙な声がして天皇を悩ませていた。 怪鳥退治を命じられた頼政は 「南無八幡大菩薩」と祈りながら矢を放つと、
鋭い叫び声ととに落ちてくる怪鳥を、家来の猪早太(いのはやた)がさっと走り寄り取り押さえてとどめを刺した。

二度目は、二条天皇が宮中で鳴く鵺に悩まされ、先例に従って頼政が召されたが、鵺は一声鳴いただけで闇の中、姿は全く見せせなかった。頼政は鏑矢(射ると矢先から大きな音がする)を放ち、その音に驚いた鵺の鳴き声で所在を確かめ、今度も見事に射落とした。(この項続く)