宿場町シリーズ《西国街道・芥川宿 上》文・写真 井上脩身

「七卿落ち」の最初の宿
~仇討ち舞台での不安な一夜~

「七卿落ち」の様子を描いた絵(ウィキペディアより)

私はいま、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』を読んでいる。岩倉使節団が欧米視察にでかけた留守政府を預かる公卿、三条実美が頼りない宰相としてえがかれているのが興味深い。三条は幕末、7人の公卿、公家が京から長州に落ち延びたいわゆる「七卿落ち」の一人である。その三条らが京を出立した後、最初の一夜を芥川宿で過ごしたことを最近知った。西国街道の芥川宿は、大阪府高槻市のほぼ中央に位置する。私は実は高槻の出身で、一時、芥川地区で暮らしたことがある。恥ずかしいことに、通勤の道のすぐ近くに芥川宿があったと知ったのは随分後のことだ。この秋の一日、芥川宿をたずねた。そこは江戸文学を彩る二つの仇討ち事件の現場でもあった。 “宿場町シリーズ《西国街道・芥川宿 上》文・写真 井上脩身” の続きを読む