冬の夜の昔話《樺太にわたったコロポックル 5》片山通夫

樺太アイヌ

時代は少しさかのぼる。まだ北海道が蝦夷地と呼ばれていた頃、蝦夷地の函館近くに松前藩(地図参照)が江戸幕府によっておかれていた。松前藩は、渡島国津軽郡(現在の北海道松前郡松前町)に居所を置いた藩である。 藩主は江戸時代を通じて松前氏であった。 後に城主となり同所に松前福山城を築く(安政元年 1854年)。当時も寒冷地で江戸幕府が大名などを統治していた石高(コメ)の収穫は望めなかった。藩と藩士の財政基盤は蝦夷地のアイヌとの交易独占にあり、農業を基盤にした幕藩体制の統治原則にあてはまらない例外的な存在であった。しかし江戸時代後期からはしばしば幕府に蝦夷地支配をとりあげられた。(この項続く)