春の宵物語《雪解け》片山通夫

雪解け

雪解けという言葉がある。広辞苑によると「雪がとけること。また、その時。ゆきげ。
〈季語は春〉」
②(ソ連の作家エレンブルグが1956年に著した小説の題名から)東西両陣営間の対立緊張の緩和をいう。
ちょうど今頃の季節、冬の間に積もった雪が、春の暖かさで溶けてゆく様を言う。また溶けた水をいう。溶けたといえ元は雪、手が切れるように冷たい。まだ雪が残っている小川の水が雪の間を流れるさまは春を思わせる。雪国の人々が待ちわびた春なのである。

一方例えば対立するアメリカとソ連が対話の時間を持とうと努力しだした場合もやはり雪解けという。ただし雪の解けた道路はぬかるんで歩きにくく嫌われる。東西両陣営の雪解けも簡単ではない。