夏の千夜一夜物語《梅雨さなか、それでも今日は七夕》片山通夫

インターネットから拝借

子供の頃から「雨の続く梅雨時に七夕?」って疑問に思っていた。そして成長するにつれそんなことは忘れていた。しかし最近は「織姫と牽牛は年に一度のデートできるんだろうか」と考えるようになった。ご存じのように天帝の怒りに触れて織姫と牽牛夫婦は別居させられて、年に一度だけ逢瀬を許されることになった。天の川は二人の間に横たわって…。
子供心に雨だったら見えないなと心配もした。しかし今や宇宙へ人が行く時代。梅雨空の上の天の川は晴れ渡っていることも判明した。大丈夫。夫婦は逢瀬を楽しむことができる。

昔話では「カササギ」という鳥が雨で水嵩の増えた天の川で羽を広げて渡らせてくれたという話もある。そういえばカササギ橋という橋も存在する。また七夕に降る雨のことを「催涙雨(さいるいう)」と呼ぶ。一年ぶりに逢えた二人が流す嬉し涙だとか…。

いずれにせよ二人は無事に逢えるようでひと安心。