秋の夜長に聞く話《東大寺大仏殿》片山通夫

最後に
なぜこのような大寺院がいつ建てられたのか少し説明しておきたい。
時代は奈良時代(8世紀)に聖武天皇が国力を尽くして建立した寺である。奈良大仏として知られる盧舎那仏(るしゃなぶつ)を本尊とし、開山(初代別当)は良弁である。建立の背景は724年聖武天皇が即位した頃、地震や疫病などの災いが起り、天皇は仏教に救いを求め、全国に国分寺や国分尼寺を建立、総本山の奈良・東大寺には大仏をつくった。
このような寺院建立が全国規模で行われたことは、かえって民に負担を強いて国力が衰えると思えるのだが、今の考えは8世紀には通じない。