「スクーターが入った」
テッちゃんがこうふんしている。
「ラビットや。かっこええねん」
ラビットスクーターはさいきん、都会ではやりだした。クスリの会社につとめているテッちゃんのおとうさんは新しがりやなのだ。
勝がテッちゃんの机の前にたった。
「うちはバタコや」
勝の家のまわりは昔からスギの山。勝のおとうさんは材木の運送をはじめようと、中古のオート三輪を知り合いから安く買いとった。
と勝はいう。 “読切連載アカンタレ勘太 11-1《しんぞうやぶりの丘》文・挿画 いのしゅうじ” の続きを読む