宿場町シリーズ《西国街道・昆陽(こや)宿》文・写真 井上脩身

歴史家・頼山陽が好んだ伊丹酒
――漢詩に酔い心地をうたう――

頼山陽像(ウィキベテアより)

 西国街道・昆陽宿は伊丹の酒蔵の街の西約2キロのところに位置し、酒好きたちの宿泊地や休憩所として利用された。『日本外史』を書いて尊王攘夷派の志士たちに強く思想的影響を及ぼした頼山陽(1780~1832)もその一人だ。故郷の広島から京都に戻る途中、昆陽宿に立ち寄り、六甲の山並みがかもすおだやかな風景を詩によみ、伊丹で心地よく酒をたのしんだという。なかでも「剣菱」が山陽好みの銘柄だった。剣菱は私も大好きだ。燗酒が飲みたくなる晩秋のある昼さがり、わたしは山陽の足跡をたどろうと、昆陽宿から伊丹の酒蔵街へと歩いた。 “宿場町シリーズ《西国街道・昆陽(こや)宿》文・写真 井上脩身” の続きを読む