怒りを込めて振り返れ《汚染水処理、100年後を視野に》一之瀬明(年金生活者)

処理水海洋放出を伝える福島民報

今なお増え続ける福島第一原発の汚染水。これといった対策がない中で政府は2年後に海中放棄すると決めた。
勿論漁師や近隣諸国から批判が上がっていることは周知のとおりだ。そんな中、2021年12月7日付朝日新聞(Web版)によると、福島大・柴崎教授が次のような提案をした。
「原発敷地の地中に総延長約4キロの広域遮水壁を造り、地下水を集める井戸を複数設置する代替案を提案。「第一原発敷地だけでなく周辺も含めて地質や地下水の実態を調査したうえで、100年後を視野に入れた地下水流入対策を早期に実施すべきだ」

この「100年後を視野に」という言葉に私は驚いた。放射能に関しては、半減期が何年だとか、北欧のどこかが何年もの先を考えて保管する施設を作ったとかいうニュースに接したことはあった。しかし柴崎教授は増え続ける汚染水対策で《周辺の地質を調査した結果、第一原発敷地の地質や地下水の流れが、国や東電の想定よりも複雑な構造になっていると指摘。地下水を建屋手前でくみ上げて海に流す「地下水バイパス」や、地中に氷の壁をつくる「凍土壁」の効果は「限定的」と述べ、対策に疑問を呈した。そのうえで、抜本的な流入防止対策の必要性を強調した》という。そのうえで《原発敷地の地中に総延長約4キロの広域遮水壁を造り、地下水を集める井戸を複数設置する代替案を提案。「第一原発敷地だけでなく周辺も含めて地質や地下水の実態を調査したうえで、100年後を視野に入れた地下水流入対策を早期に実施すべきだ」》と訴えた。

はたして国や東電が柴崎教授のこの提案を検討するか興味にあるところだ。一度決めたら梃子でも動かない役人と何の考えもなく経済的な問題ばかりを考える東電にその度量があるかどうか、我々は見守る必要がある。