宿場町シリーズ《東海道・水口宿 下》文・画 井上脩身

夏の風物詩のかんぴょう干し

宿場を貫く旧東海道

与力は宿場役人を案内人にして、竜馬がいる部屋の明かり障子を開ける。同心3人が部屋に踏み込み、竜馬の両腕をとろうとすると、竜馬は筆で「なんすれぞ、土佐守家来に無礼はするぞ」と大書きした。藩士に対して、奉行所役人は司法権をもってない。与力はその場を立ち去った。
そのとき、遠くでけたたましい呼子笛の音がきこえはじめた。竜馬は大刀を落とし差
しにし、笛の方に向かう。足軽町に出たところで、大小をとりあげられた播磨之介が捕吏の六尺棒にかこまれて、竜馬の前を通った。
「水口宿絵地図」には足軽町はない。地図の西の方(京より)に小坂町があり、その文字の下に(百間長屋)と、カッコつきでかき添えられている。 “宿場町シリーズ《東海道・水口宿 下》文・画 井上脩身” の続きを読む