Lapiz 22夏号Vol.42 読切連載《アカンタレ勘太11-1》文・画 いのしゅうじ

カブトムシのムサシ

夏休みになると、テッちゃんは毎日のように、勘太をセミとりにさそいにくる。
きょうのテッちゃんは、広いおでこがいつもよりテカテカしている。いいことがあるしるしだ。
「カブトムシいる林、にいちゃんに教えてもろたんや」
国鉄のせんろちかくのお宮さんの森だという。
「いまからカブトムシがりに行こ」
「あのお宮さん、よその地区のや。虫とりなんかしたらおこられへんか」
「神さんにおまいりしたらええねん。そしたら、なんぼでも持っていけっていうてくれはる」
(そんなけっこうな神さん、いはるやろか) “Lapiz 22夏号Vol.42 読切連載《アカンタレ勘太11-1》文・画 いのしゅうじ” の続きを読む