Opinion《先制敵基地攻撃とロシア #3》山梨良平

勇ましく閣議だけで重要な国民の運命を左右することを決定した岸田内閣だが、果たしてことの重要性をどこまで理解しているのだろうか。
《日本の防衛体制強化をロシアが批判、「抑制のきかない軍事化」 》とはローター電が伝えたロシアの反応。

続いてロシアは
*前例のない軍事力増強へ突き進む
*平和的な発展を明確に否定
*必然的に新たな安全保障上の課題を引き起こす
などと指摘した。
このようなロシアの指摘が単なる外交上の反応なのかどうかはわからない。しかし近隣国であり、北海道に接しているともいえる(サハリンと宗谷海峡を隔てて43Km)大国ロシアの「抑制した反応」は北朝鮮の反応よりも「すごみ」を感じるのは筆者だけなのか。

地政学的に言えば遠いアメリカを相手にするよりも、ロシアや中国、朝鮮半島の国と交流を深めて平和的に交流を深めることの重要性を思い出したい。その昔、文禄・慶長の役という戦争があった。簡単に説明すると豊臣秀吉が何を思ったのか、大明帝国の征服を意図し大名たちを糾合して遠征軍を立ち上げ、明国の冊封国である朝鮮に攻め入った。しかし明国の応援で膠着状態に入った両軍は厭戦気分の中、秀吉の死で日本軍は引き上げ戦いは終了した。その後家康は朝鮮との修好に努力し、対馬藩に朝鮮との交渉にあたらせた。
その時の対馬の朝鮮方佐役(朝鮮担当部補佐役)を拝命した雨森芳洲は《外交の基本は「誠意と信義の交流」である》と説いた。
つまり近隣国との外交は誠意と信義の交流が重要だと言うわけで、先制敵基地攻撃などとはまったく相いれない考え方である。

おそらく「そんな昔の話は参考にもならない」という御仁も多々おられようが、冗談じゃない。そんな昔の人物でもそう理解しそう説いたのだ。近隣国との友好を最重要に我々は考えなければ、たちまち戦争になる。緊張の連続で暮らしてゆかねばならない。(完)