連載コラム・日本の島できごと事典 その93《日本の島の数》渡辺幸重

以前の地図(上)と最新の地図(下)=江の島の例

 本コラム(その85)で、日本の島を国土地理院の電子国土基本図で数え直した結果、15,528島であることがわかった、とお伝えしました。これは『新版 日本の島事典』の監修・編著者である長嶋俊介・鹿児島大学名誉教授(元日本島嶼学会会長)が「周囲0.1㎞以上の自然島+周囲0.1㎞未満の名前が付いた島」という基準で数えたものですが、国土地理院は2月28日、「電子国土基本図を基に我が国の島を一定の条件のもと数えた結果、14,125島となった」と発表しました。これまで国の公式数値は海上保安庁が1987(昭和62)年に公表した「6,852島」でしたが、これで日本の島の数は公式にも1万島を超えたことになります。これは測量技術の進歩により地図で詳細に陸地が表現されるようになったため以前はなかった小さな島や岩が地図の上で数えられるようになったことを反映しています。

 国土地理院の“一定の条件”とは「法令等に基づく島のほか、地図に描画された陸地のうち自然に形成されたと判断した周囲長0.1km以上の陸地を対象とした」ということです。法令等とは離島振興法や有人国境離島法などのことで、有人国境離島法には周囲長0.1km未満の島嶼も含まれています。なお、湖沼等内水面にある陸地は含まれません。従って、国公式版と『島事典』版の数の違いは、後者が周囲長0.1km未満の陸地で法令等に基づかない名前付きの無人島を入れた分だけ多くなるということになります。ちなみにすべての島嶼となると、国公式版は「電子国土基本図に描画された全ての陸地は120,729(令和41月時点)」とし、島事典版は「名前のない周囲0.1㎞未満の岩礁や人工島も含めたすべての島・岩礁を地図データから拾うと114,886」としています。ただし、国土地理院が「自然の地形である島は、ある時点での我が国の国土の一面を表したものであり、地殻変動等や計数時点での測量技術の進歩の影響を受けうる」というように、島の数は絶えず変化します。

 島の数を都道府県別にみると多い順に、長崎県1,479(『島事典』版では1,693)、北海道1,473(同1,585)、鹿児島県1,256(同1,415)、岩手県861(同947)、沖縄県691 (同728)、宮城県666(同733)となっています。