京都奇譚《前書》山梨良平

百鬼夜行の図

京都という都はすでに1200年以上の歴史を誇る。ふと思ったのだが、1200年もの間、人が営みを続けていると、時空を超えて様々な事象が起こるのではないか?そういえばこの間には、人が生まれ育ち、時には幸せをかみしめ、またある時は憎み戦ってきた。天皇や貴族、武士などの生活を描いた記録や物語は残っている場合も多いが、庶民の営みはどうだったのだろうか。 御伽草子という物語集がある。物語としては鎌倉時代に完成したようだが、平安時代から伝えられてきた物語を採集したものらしい。貴族社会の生活や僧侶の話など、また歴史書にはあまり見られない庶民の生活も生き生きと語り伝えられている。
本稿はお目汚しになるかもと思いながら、御伽草子だけでなく京都にまつわる話を筆者の独断と偏見で書いてみた。なにしろ平安の時代、百鬼が横行していたという。所謂百鬼夜行が起こりやすい夜行日(やぎょうび)なるものがあり恐れられていたという。
たとえばこの夜行日には首の無い馬に跨って人里を徘徊すると言うひとつ目の鬼(あるいは首なし馬そのものを指す)が横行すると恐れられていた。掟を破って物忌みの晩に出歩く者は、この首無し馬に蹴り殺されてしまうとも恐れられていた。
※お断り:「忌憚」という文字を意味が違いますので本来の「奇譚」と書き換えます。(この稿続く)