原発を考える《ロシア軍がウクライナの原発を占拠した》一之瀬明

人類が永遠の電力を手に入れたのか、はたまた地獄の業火を弄んだのか。我々は原子力と言う魔法のエネルギーを手に入れたようにも思える。その最たるものが原子力発電所である。何事もなければこんな良いものはないともてはやされてきた。しかしながら1986年4月に起きたウクライナのチエルノブイリでの爆発事故がその印象を一変させた。 強制移住等:数十万人以上、 死者:33人(4,000人とも (IAEA公式見解、異論有))と言われているが明確ではない。

ウイキペディアによると「チエルノブイリ原発は1986年4月26日午前1時23分に、ソビエト社会主義共和国連邦の構成国、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故である。のちに決められた国際原子力事象評価尺度では深刻な事故を示すレベル7に分類された」とある。

そのチェルノブイリ原発をロシア軍はウクライナ侵攻時に制圧したというニュースが流れた。《素手で放射性物質 ロシア兵、チェルノブイリで相当量の被ばくか・毎日新聞》、《ロシア軍、チェルノブイリ原発の森で塹壕掘って被ばくか ウクライナ当局、高レベル放射性物質の盗難も発表 ・東京新聞》、《ロシア軍、チェルノブイリから放射性物質盗む ウクライナ・時事》などなど、素人考えながら恐ろしい事件が起こっている。ロシア兵が無知なのかわからないが、これらの報道が事実ならば、ロシア兵は相当の放射能被害を受けているはずである。「素手で放射性物質に」などもってのほかの行為だ。

プーチンはこの事実を知っているのか、原発占拠の命令は誰が下したのか、死の森で塹壕を掘れと命令を下したのはだれか。今後の解明を待たれる。

原発はこのように危険だ。ヒロシマやナガサキの例を見るまでもない。放射性物質の人体に与える影響はその時の「死」だけではない。人体に入り込んで長年続く。チェルノブイリ原発の制限区域を訪れたウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は、「(ロシア兵は)放射性物質で汚染された地面を掘り、土のうを作るため土を集め、そのほこりを吸い込んだ」とフェイスブックに投稿。「このように1カ月にわたって被ばくすると、彼らの余命は最大でも1年だ」とし、「ロシア兵の無知は衝撃的だ」と記している。 やはり原発は危険だ。

22年夏号Vol.42 原発を考える《「黒い雨訴訟」に見る原発の問題点》井上脩身

『私が原発を止めた理由』の表紙

2014年5月、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを、福井地裁の裁判長として命じた樋口英明氏の活動を追った映画が今秋上映される。題は「原発をとめた裁判長そして原発をとめた農家たち」。樋口氏を中心に福島県二本松市の営農家らの活動を通し、原発の危険性を告発する映画となるようである。その主人公の樋口氏については、ラピスでも著書『私が原発を止めた理由』を取り上げ、我が国の原発が過去の地震の大きさに対応する対策がなされていないことを明らかにした裁判官であると紹介してきた。樋口氏についての映画企画が浮上したのを機に、私は改めて同書を読み返した。樋口氏が放射能被ばくの観点から「黒い雨訴訟」を注目していることに気付かされた。本稿では、同訴訟を通して、原発の問題点を考えたい。 “22年夏号Vol.42 原発を考える《「黒い雨訴訟」に見る原発の問題点》井上脩身” の続きを読む

原発を考える《怒りを込めて振り返れ! 原発》一之瀬明

チェルノブイリ原発4号機

ウクライナ政府は2022年2月24日、ロシア軍がチェルノブイリ原発を占拠したと発表した。ミハイロ・ポドリヤク大統領顧問は、ロシアによる「全く無意味な攻撃」は「今日のヨーロッパにおける最も深刻な脅威の一つ」だと述べた。
また最近になって、プーチンはロシアの核戦力部隊に戦闘態勢に入るよう命令した。どうもロシア軍、いやプーチンは最後には核を利用することも作戦の一つと考えているような気がする。しかし火遊びにしては危険すぎる。ロシアの政治体制がどの様になっているのかわからないが、「核のボタン」をプーチンが押すと決めた場合、プーチンのそばにいる誰かがそれを止めることが出来るのか。またプーチンの精神状態などをチェックする体制もあるのか。いささかどころでなく心もとないことである。 “原発を考える《怒りを込めて振り返れ! 原発》一之瀬明” の続きを読む

原発を考える《甲状腺がんの加害責任をただす》文 井上脩身

東京電力を相手に提訴した原告団 

~患者たちが東電相手取り提訴~
 福島第1原発事故後、甲状腺がんになった6人が1月27日、がん発症は事故が原因として東京電力対して6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。チェルノブイリ原発事故後、子どもの甲状腺がんが急増したことから、福島事故の被曝によるがん発症の可能性が強く指摘されたが、国や福島県、東電は因果関係を否定してきた。今回の提訴は、原発事故とがんとの因果関係の有無を公判廷の場で明らかにするにとどまらず、将来を担う子どもの健康を守るという、最も基本的なことに目を背けてきた東電の非人道的姿勢を浮き彫りにするという意味でも極めて意義深い裁判になる。 “原発を考える《甲状腺がんの加害責任をただす》文 井上脩身” の続きを読む

原発を考える《犠牲強要の汚染処理水海洋放出》文 井上脩身

福島第1原発の敷地いっぱいに並ぶ汚染処理水貯蔵タンク(ウィキベテアより)

岸田文雄首相は衆院選で与党が過半数の議席を獲得したのを受け、安倍政権が行ってきた原発政策を進める方針を明らかにした。当然、前政権時代の課題も岸田政権の肩にのしかかるが、そのひとつは福島第1原発の汚染処理水問題だ。菅政権下の2021年4月、2年後をメドに海洋放出することに決定しており、岸田首相は自らの政権下で放出を実施するものとみられる。しかし、放出される放射性物質トリチウムの危険性を指摘する声は根強くあり、地元漁業者は風評被害を懸念、あくまで反対のかまえだ。そもそも原発事故が起きたから処理水問題が出現しでたのである。事故で地元漁業者に塗炭の苦しみを押し付け、さらに処理水放出で少なくとも風評被害を及ぼすというであれば、理不尽な犠牲強要施策というほかない。 “原発を考える《犠牲強要の汚染処理水海洋放出》文 井上脩身” の続きを読む