原発を考える《核のごみ最終処分場の行方》文 井上脩身

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――手を挙げた北海道2町村の問題点――
 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けての文献調査に関し、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で実施される可能性が浮上した。この調査を受け入れる自治体には国から最大20億円が交付されることになっており、この2町村はカネ欲しさに手を挙げたのだ。核のごみの処分場がないことについて、「トイレのないマンション」と揶揄されて久しい。そのトイレの見通しのないまま原発大国を目指した自民党政府は、原発立地と同様、過疎の貧困自治体に札びらをちらつかせるという、あこぎな手段に打って出たのである。この二つの町村のいずれかが最終処分場になれば、核燃料は10万年先までその地下に埋められる。日本は世界有数の地震大国である。地下が安全と言い切れるはずがない。そのリスクを負わされるのは未来の人たちだ。「トイレから汚染物が漏れ出してもオレたちの知ったことでない」と言っているに等しいではないか。何という無責任で無恥な国であろうか。

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宿場町シリーズ《西国街道・芥川宿 下》文・写真 井上脩身

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脇本陣に代わる大商家

「一里塚三宝大荒神」の祠

7人の公卿、公家は痛い足を引きずりながら宿場内を進んでいく。彼らはどこに宿泊したのであろうか。
享保19(1734)年の「芥川宿絵図」によると、一里塚―芥川橋間の街道の両側に157戸が軒を並べていた。一里塚はすでに述べたように、宿場のほぼ中央に位置しており、ここから芥川橋までの距離は約400メートルとそう長くはない。商家がぎっしり並んでいたことがうかがえる。天保14(1843)年の「宿村大概帳」には人別1150、家数253と記録されており、7人が宿場に足を踏み入れたとき、戸数は250前後であったであろう。 “宿場町シリーズ《西国街道・芥川宿 下》文・写真 井上脩身” の続きを読む

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宿場町シリーズ《西国街道・芥川宿 上》文・写真 井上脩身

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「七卿落ち」の最初の宿
~仇討ち舞台での不安な一夜~

「七卿落ち」の様子を描いた絵(ウィキペディアより)

私はいま、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』を読んでいる。岩倉使節団が欧米視察にでかけた留守政府を預かる公卿、三条実美が頼りない宰相としてえがかれているのが興味深い。三条は幕末、7人の公卿、公家が京から長州に落ち延びたいわゆる「七卿落ち」の一人である。その三条らが京を出立した後、最初の一夜を芥川宿で過ごしたことを最近知った。西国街道の芥川宿は、大阪府高槻市のほぼ中央に位置する。私は実は高槻の出身で、一時、芥川地区で暮らしたことがある。恥ずかしいことに、通勤の道のすぐ近くに芥川宿があったと知ったのは随分後のことだ。この秋の一日、芥川宿をたずねた。そこは江戸文学を彩る二つの仇討ち事件の現場でもあった。 “宿場町シリーズ《西国街道・芥川宿 上》文・写真 井上脩身” の続きを読む

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LAPIZ2020冬号Vol.36びえんと《大坂選手がマスクに込めたBLM》Lapiz編集長 井上脩身

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全米オープン試合会場にマスク姿で現れた大坂なおみ選手

大坂選手がマスクに込めたBLM
~差別助長のトランプ発言のなかで~

テニスの大坂なおみ選手が9月12日に行われた全米オープン女子シングルスで2度目の優勝を果たした。その快挙にもまして世界から喝采をあびたのは、黒人差別への抗議を表すマスクをつけてコートに現れたことだ。米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたが、SNSには「黒人優遇運動をテニスに持ち込んだ」などと、彼女を批判する投稿も少なくない。女性差別、被差別部落への差別や在日韓国人・朝鮮人への民族差別などの従来からの差別に加えて、所得格差の拡大にともなう貧困者差別、国際化による黒人差別が日本でも大きな社会問題となってきている。差別の横行を放置してよいのか。大坂選手がマスクを通して問いかけたのは、多様な人々で構成される21世紀社会の中での、人としての在りようだと私は思う。 “LAPIZ2020冬号Vol.36びえんと《大坂選手がマスクに込めたBLM》Lapiz編集長 井上脩身” の続きを読む

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LAPIZ2020冬号Vol.36《巻頭言》Lapiz編集長 井上脩身

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伊藤詩織さん

 アメリカの大統領選は前副大統領のジョージ・バイデン氏が勝利しました。敗れた現職大統領のドナルド・トランプ氏は、「開票に不正があった」などとして法廷闘争による大逆転を狙っていますが、その悪あがきは世界中から冷笑をかっています。
トランプ氏の敗因はいろいろあるようです。新型コロナウイルスの感染力を軽視したことに加えて、ロシア疑惑、脱税疑惑など、彼につきまとううさん臭さに多くの人たちが嫌気をさしていました。セクハラ疑惑もその一つです。女性票が逃げていくのも当然のことでした
セクハラといえば、アメリカのタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に、自らの性暴力被害を公表したジャーナリストの伊藤詩織さんが選ばれました。性被害を受けたことを公にした勇気と、それによって性暴力告発キャンペーン「♯MeToo運動」を後押ししたことが評価されたとみられています。 “LAPIZ2020冬号Vol.36《巻頭言》Lapiz編集長 井上脩身” の続きを読む

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