夏の千夜一夜物語《ええじゃないか》構成・片山通夫

「ええじゃないか」騒動に興じる人々。(ウイキペディア)

 空から降ってくるのは雨や雪だけでなく、時には雹(ひょう)や花粉も降ってくるが、御札や豆までとなると、気象庁も困ってしまう。ところが江戸時代に、これらが実際に降ったらしい。伊勢神宮の御札が舞い、民衆が熱狂的に「ええじゃないか」と叫び踊ったという話は有名である。(写真) “夏の千夜一夜物語《ええじゃないか》構成・片山通夫” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《ツチノコ》構成・片山通夫

 蛇にしては胴が太く、柄の無い槌(つち)のような姿だというツチノコ(槌の子)。地域によってはノヅチ(野槌)、尺八蛇などと言い、横になって斜面を転がるという話から、タンコロ、ドデンコとも称されている。
生け捕りに賞金がかけられるなど、近年でもメディアで話題になるが、民俗学では、昭和40年代に、坂井久光が雑誌『あしなか』で4度の報告をしている。坂井は、生態学者の今西錦司らと、目撃情報のあった各地へ足を運んだが、お目にかかることは出来なかったようだ。今西は蛇が獲物を飲み込んで膨れた状態と理解したが、岐阜県金山町では交尾期の蛇が絡まり合ったものだという。また全く架空の生物とする向きもある。
呼び方といい解釈といい、単一の現象に還元できないところが興味深い。
(日文研妖怪DB班・中本剛二)

夏の千夜一夜物語《幽霊の話2》構成・片山通夫

その時も残業をしていたそうなのですが、足音や仕事をしているような音はしなかったそうです。
ただ、どこからかカタカタという音が絶え間なく聞こえていたそうです。

気になるので音を辿っていくと、応接室に行きつきました。ドアを開けると、さらにカタカタという音が大きくなります。 “夏の千夜一夜物語《幽霊の話2》構成・片山通夫” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《幽霊の話》構成・片山通夫

知人に聞いた話ですが、彼の勤めている会社のビルは「出る」と言われているそうです。特定のフロアだけに出るのだそうですが、そこには知人が所属する部署も入っていて、そのため何度もそれらしいものに遭遇したことがあるようです。

しかし知人曰く、お化けといっても大人しいものなんだとか。
残業をしていると、パーテーションの向こうから足音がしたり、マウスをクリックしたり、書類をめくったりする音が聞こえるそうです。
まるでそこに誰かがいて、同じく仕事をしているような雰囲気なのだとか。

自分の仕事が終わってもまだ気配がするので、挨拶してから帰ろうと覗くと、誰もいないのだそうです。
フロアを出入りするドアは一つしかなく、開け閉めすると音がするので、人の出入りがあればすぐわかるはずだと言います。 “夏の千夜一夜物語《幽霊の話》構成・片山通夫” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《六道の辻と盆》構成・片山通夫

送り火

一昨日16日、一般的にお盆は過ぎ、あちらの世界へ霊を送るための「送り火」が日本のあちこちで焚かれた。子供の頃、住んでいた村では村のあちこちの辻で送り火が夕方」日が沈むと送り火が鉦の音とともに火がつけられた。ずっと後で気が付いたが、あちこちの辻は「六道の辻」だったのかもしれない。 “夏の千夜一夜物語《六道の辻と盆》構成・片山通夫” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《無いはずの上履き》構成・片山通夫

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これは、私が親戚のおじさんから聞いた話です。

おじさんがまだ子供だった頃。
現代のコンクリート校舎と違って、当時はまだ木造の校舎が残っていました。
おじさんの学校も木造だったらしく、廊下を歩く度にギシギシと軋む音が鳴り響き、放課後に1人で歩くのは怖かったと言います。 “夏の千夜一夜物語《無いはずの上履き》構成・片山通夫” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《綺麗な景色》構成・片山通夫

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これも聞いた話の受け売りだ。

ある日突然、近所のおじさんが玄関を開けて入ってきた。
酒を飲んでは騒ぎを起こし、そこいらではよく思われていない男だ。
鼻つまみ者の労働者。

「ちょっと外に出てみな。すごい夕焼けだ。見た事もない綺麗な景色だよ。」

何と言うか、顔つきが清々しい。いつになく良い顔をしている。
私はすぐに外へ出て空を見上げた。
確かに綺麗な夕焼けだけど…飛び抜けて感心する程でもない。

「辺りが輝いてるなぁ。生きてて良かった。こんなに綺麗な夕焼けを拝めるなんて、すごいよなぁ。」
そう言いながら、おじさんは坂道を下って行った。

私はぽかーんと空をしばらく見上げて、家に入った。

それからパーンと突き抜けるような電車の警笛の音がした。
救急車や消防車のサイレンが近くで鳴り響く。

おじさんは電車に跳ねられて死亡した。自殺だったそうだ。

生きてて良かった、なんて言った人が自殺なんてするだろうか?
今でも釈然としない。
何かに魅入られたのだろうか?
人は、死ぬ前に美しい景色を見るとは聞いた事があるが…。

夏の千夜一夜物語《立秋》片山通夫

立秋 新暦で今年の立秋は今日・8月7日(土曜日)。しかし今日も真夏、最近は所謂猛暑。いきなり秋と言われても・・・。
少し秋を感じる歌を探しました。

〇秋きぬと眼にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 藤原敏行
〇川風のすずしくもあるかうちよする波とともにや秋は立つらん 紀貫之
〇さまざまのあはれをこめて梢吹く風に秋知る深山辺の里 西行
〇心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ 西行 “夏の千夜一夜物語《立秋》片山通夫” の続きを読む