夏の千夜一夜物語《置いてけ堀》構成・片山通夫片山通夫

釣り人が魚を持って帰ろうとすると、「おいてけ~」という不気味な声が聞こえることから「おいてけ堀」と名づけられた掘りがありました。
その声のあまりの怖さに、みんな釣った魚を放り投げて帰ってしまうのです。それを聞きつけた魚屋。嫁が止めるのも聞かずに、魚天秤とねじり鉢巻姿でお堀へ向かいます。

さんざん釣って帰ろうとすると、やはりお堀から「おいてけ~」の声が……。魚屋は言うことを聞かず、啖呵を切って一目散に走ります。柳の下までくると、カランコロンと下駄の音。
「魚を売ってください」という女に、みんなに見せるまではダメだと断ると、「これでもかえ?」と、女の顔がのっぺらぼうに……。
魚を放り出し慌てて逃げる魚屋。途中見つけたそば屋で水をもらおうと、店主の顔を見れば、またもやのっぺらぼう。腰の抜けた魚屋、どうにか家までたどり着き、嫁に一部始終を話すのですが……。

夏の千夜一夜物語《船幽霊》構成・片山通夫片山通夫

海で死んだ人たちの霊が、生きている人たちを向こうの世界へ引きずり込むものとされ、昔から漁師たちに恐れられていました。お盆には、浜辺で迎え火を焚いて、海で亡くなった人をお迎えし、お盆の間は決して漁に出てはいけないとされていたのです。
ところが、威勢のいい漁師のお頭が村の老人たちの止めるのも聞かず、子分を引き連れお盆の夜の海に繰り出してしまいました。ほかに漁をする船はいませんから、網を入れるとおもしろいほど魚が取れます。しかし、気がつくと黒い雲に覆われ、船幽霊が現れたのです。

丸い光の亡霊たちは、漁師の舟を取り囲み「ひしゃくをくれ」と口々にいいます。船幽霊にひしゃくを渡すと、海の水を船に注ぎ入れ、沈めてしまうと恐れられていました。
するとその時、浜で焚いていた迎え火が一斉に消え、空に浮かぶと沖に向かって飛び始めました。迎え火は船幽霊を取り囲むと「わしらも同じ海で死んだ者。悪さをするな」と諭し始めたのです。

これによって船幽霊は消え、漁師たちは助かりましたが、親方は「ひしゃくがほしい…」とブツブツいいつづけ、おかしくなってしまったそうです。

夏の千夜一夜物語《子育て幽霊》構成・片山通夫片山通夫

六道の辻で

死んだはずの女が、自分の墓の前に捨てられていた赤ん坊を育てるというお話。
ある夏の夜、村のアメ屋に女がアメを買いにやってきます。入れ物に入った水アメを受け取ると、女は消えるように帰っていきました。 来る日も来る日も女はアメを買いにやってきます。雨の夜、隣村のアメ屋が訪ねてきたとき、ちょうどその女がアメを買いにきました。隣村のアメ屋は「1か月前に死んだ松吉の女房だ」といい、2人は真相を探るべく、女の後をつけていきます。女の向かった先は隣村の墓場。そこで、すーっと音もなく消えてしまったのです。

恐ろしくなった2人は、近くの寺に駆け込み、和尚さんと一緒に墓を見に行くことにしました。
すると、どこからか赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。赤ん坊 は松吉の女房の墓の前に捨てられていたのでした。
添えられた手紙から、赤子が数日前に捨てられたことがわかり、泣いている赤子を見かねた松吉の女房が、アメを買って育てていたのでした。

夏の千夜一夜物語《太助とお化け》構成・片山通夫片山通夫

 夏です。夏定番の怖い話をご紹介。すでにご存じの方も多いと思いますが‥‥。
最初は

お化けが出るお寺に悩んでいた村人に、薬売りの太助が度胸と知恵で立ち向かうというお話。
村人の悩みを見かねた太助が古ぼけたお寺で構えていると、はたして、一つ目の大きな化け物が。「お前の怖いものは?」という問いに、「銭が怖い」と答えると、化け物は「オラはナス汁が怖い」というではありませんか。翌日、太助は鍋いっぱいにナス汁を作ってお化けを待ちます。現れたお化けは、逃げる太助に向かって小判を投げつけます。

一方の太助は、ナス汁を化け物にふりかけ、追い詰めました。悲鳴を上げる化け物に鍋ごとナス汁をかけると、化け物は大きなキノコに、小判は小さなキノコに変わってしまいました。
このことから、キノコ汁にナスを入れると中毒にならないと言われるようになったそうです。

夏の千夜一夜物語《梅雨さなか、それでも今日は七夕》片山通夫

インターネットから拝借

子供の頃から「雨の続く梅雨時に七夕?」って疑問に思っていた。そして成長するにつれそんなことは忘れていた。しかし最近は「織姫と牽牛は年に一度のデートできるんだろうか」と考えるようになった。ご存じのように天帝の怒りに触れて織姫と牽牛夫婦は別居させられて、年に一度だけ逢瀬を許されることになった。天の川は二人の間に横たわって…。
子供心に雨だったら見えないなと心配もした。しかし今や宇宙へ人が行く時代。梅雨空の上の天の川は晴れ渡っていることも判明した。大丈夫。夫婦は逢瀬を楽しむことができる。

昔話では「カササギ」という鳥が雨で水嵩の増えた天の川で羽を広げて渡らせてくれたという話もある。そういえばカササギ橋という橋も存在する。また七夕に降る雨のことを「催涙雨(さいるいう)」と呼ぶ。一年ぶりに逢えた二人が流す嬉し涙だとか…。

いずれにせよ二人は無事に逢えるようでひと安心。

夏の千夜一夜物語《子午線の通る町・明石から淡路島航路》片山通夫

淡路島へは明石海峡大橋を車かバスで渡るかフェリーで渡ることができる。フェリーは淡路ジェノバラインという船会社が運航している。たったの13分ほどの船旅である。しかしあの明石海峡大橋をくぐる航路でもある。

夏の千夜一夜物語《七夕(たなばた)》片山通夫

七夕まつり

今年も夏が来た。夏至を過ぎると本格的な夏が来る。最もわが国では梅雨と重なってまだじめじめした空模様が続いている。沖縄などでは梅雨が明けている年もあるが今年は来月の3日位という予報だが、これはあてにならない。この梅雨入りや梅雨明けほどあてにならない予報はない。

しかし夏至が過ぎて夏に至る時期なのだ。7月といえば七夕祭。しかし新暦でいうものだからたいてい梅雨のさなかで星は見えない。変なところで合理的で新暦に直してしまうものだからなかなか季節とマッチしない。

本来 七夕(たなばた/しちせき、棚機)は、中国大陸・日本・韓国・台湾・ベトナムなどにおける節供・節日の一つ。五節句の一つにも数えられる。星祭り(ほしまつり)ともいう。(七夕節句とはいうが、二十四節気に関連する節月ではなく、暦月の)旧暦7月7日の夜のことで、日本ではお盆(旧暦7月15日前後)との関連がある年中行事であったが、明治改暦(日本におけるグレゴリオ暦導入)以降、お盆が新暦月遅れの8月15日前後を主に行われるようになったため関連性が薄れた。(この項ウイキエディア)

日本でも各地で七夕祭りが開催される。織姫と牽牛の恋物語が有名だ。

仙台などで行われている七夕まつりは新暦で8月7日頃に催される。

                           この項明日に続く