冬の夜の昔話《神隠し》片山通夫

神隠しイメージ

深い森などで忽然と人がいなくなる。理由はわからない。自分の意志で消える場合もある。これは蒸発ともいわれる。しかし決して自分の意志ではないが忽然と姿を消す場合がある。決して事件性はない。まあ、それこそが事件なのかもしれないが。そしてその姿を消した人が何年か何日かは決まっていないが、忽然と姿を現す。
こんな現象を人は神隠しというらしい。

 ウイキペディアによると次の通り。
 人間がある日忽然と消え失せる現象。神域である山や森で、人が行方不明になったり、街や里からなんの前触れも無く失踪することを、神の仕業としてとらえた概念。古来用いられていたが、現代でも突発的な失踪のことをこの名称で呼ぶことがある。
 

連載コラム/日本の島できごと事典 その8《移住者の島》渡辺幸重

生き物は定住と移動を繰り返します。移動の最大の理由は「食うため(食糧を求めて)」でしたが、“アフター・コロナ時代”でも同じなのでしょうか。
東京の竹芝桟橘から伊豆大島経由のジェットフォイルで2時間25分で行ける伊豆諸島の島に利島(としま)があります。人口337人(2015年)・周囲約18mの円錐状の形をした島で、住民の約半数、20~40代の8割以上が移住者という珍しい島です。役場職員の実に約9割が島外出身者です。利島の物流を支え、定期航路の離着岸事業などを行う株式会社TOSHIMAの社員の約9割もIターン者で、いまでは若い島外出身者が利島の社会を支えているといえます。
利島への移住者は役場や農協に勤めたり、日本一の生産を誇る椿油の仕事をしたり、漁業を営んだりしています。芸術活動をするとか、リモートで東京の仕事をするとかではなくて多くの人が“島の仕事”に従事しているのが特徴です。そして「海や山で採れる自然の恵みのすばらしさ、台風や冬の西風など自然の厳しさと共に生活する」島の現実を受け入れています。
利島村は1島で自治体を構成する小さな村です。「利島活性化活動」として下草刈り作業や椿の実の収穫作業に学生ボランティアを募集し、年齢制限なしの「ふるさとワーキングホリデー」制度を実施するなど普段から島外在住者との交流をしています。椿農家の高齢化や後継者不足など問題がないわけではありませんが、島の人口は、戦後の混乱期を除き江戸時代から現在まで300人前後で推移し、他の島に比べて過疎問題や高齢化の問題が少ない不思議な島なのです。
利島は、子どもが生まれると他家に子どものお守りを頼むボイという慣習があり、両家が親戚関係を結ぶなど人の繋がりが強いところです。逆にそれが“よそ者”としてでなく“身内”として受け入れる素地になっているのかもしれません。
コロナ禍は社会の価値観を変えると言われます。利島の「島の生活」のなかに“コロナ後のパラダイム”のひとつが存在しているような気がします。

寒い冬の夜話《遠野に見た河童淵 005-2》片山通夫

捕獲許可証に書かれているように、河童は新鮮な野菜が好きなようだ。カッパ淵に備え付けてある旅行者用の釣り竿の先にはしっかりと胡瓜がつけられていた。そういえば胡瓜巻という巻きずしはカッパという。カッパと胡瓜は切っても切れない中仲なのだ。 カッパ淵の水辺にはカッパの神を祀った小さな祠(写真)が建っている。カッパの神は乳の神であり、乳児のある母親が母乳の出がよくなるよう祈願するとよいとされ、祠には、女性が奉納した赤い布による乳房を模ったぬいぐるみのようなものが置かれている。

参考 カッパにまつわる写真 ↓

 

連載コラム/日本の島できごと事典 その7《メガソーラー》渡辺幸重

宇久島_ 寺島_ 再生エネルギー基地

気候変動が問題になり、日本政府もやっと2050年カーボンニュートラルを宣言し、自然再生エネルギー政策を口にし始めました。一方、自然再生といえども巨大施設は環境破壊につながることが問題になっています。
地理的には五島列島、行政的には平戸諸島という有人島に2,179人(2015年)が住む宇久島(うくじま)があります。宇久島は「平成の大合併」で佐世保市になりましたが、人口は10年間に3分の1が減少し、この大合併で旧役場があった島で大幅人口減があった代表事例とされているところです。
そこに出力2,000キロワットの風車を50基設置する風力発電所と、島の4割の面積を使い、総出力480メガワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)という2つの再生可能エネルギー事業計画が持ちこまれました。風力発電所は国内有数の規模、メガソーラーはソーラーパネル約150万枚を設置する日本最大級のものです。これが実現すると、島の景観や地域社会はがらりと変わるでしょう。行政と業者は計画を進めていますが、住民や漁協などには自然環境や住環境の変化、景観の悪化などに対する危惧があり、十分な合意形成ができていないのが現状です。2020年12月には、反対派住民がメガソーラー建設事業に関して佐世保市が出した公園敷地の使用許可の取り消しを求め、監査請求を出しました。日本自然保護協会は両計画に対して「自然環境や文化環境を壊して小さな島を発電施設で埋め尽くす必要が本当にあるのか」と問題を指摘し、反対しています。
自然再生エネルギー事業はいいものだと思い込みがちですが、巨大開発は人間にも自然にも後戻りできない大きな環境変化を押しつけます。本来の「グリーン・リカバリー」なら地産地消ができる小規模施設を必要な分だけ作るという抑制が必要です。
宇久島は「五島富士」の異名をもつ城ヶ岳があり、韓国・済州島も眺望できる風光明媚な島です。近くの小値賀(おぢか)諸島も含め西海国立公園になっており、島を黒いパネルで覆うのは島を犠牲にする政策としか思えません。

 

寒い冬の夜話《遠野に見た河童淵 005》片山通夫

カッパ淵

岩手県遠野にはカッパが住んでいる。何しろえら~い柳田國男と言う大先生が遠野物語という本に書いているのだから、間違いない。あんな偉い先生が嘘をつくはずがないのだ。さてそのカッパ淵だが、遠野市内の土淵町にある常堅寺裏を流れる小川の淵がそうなのだ。今や写真で見るように胡瓜を餌に河童を釣ろうとする輩も出没するありさま。もちろんこの淵でカッパを釣ろうという向きは必ず遠野市観光協会発行の捕獲許可証を取得する必要がある。勿論許可証の裏面には捕獲7か条なる決まりがある。よく心得るべしなのだ。(この項続く)