Cover Story 《海》 北 博文

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2020冬号表紙 撮影 北博文

「海は広いな大きいな・・・」と童謡で昔から歌われた広大な青い海、私は神戸市の現在JR垂水駅北側のすぐ傍の実家で生まれ、幼児期は山陽電鉄もJR(旧国鉄)も高架になってなく海に行くときは必ず開かずの踏切を渡って行ったものです。その頃は蒸気機関車D51が長い貨物を引っ張り電気機関車EF58が茶色の客車を8両余り連結していたのを覚えています。小学生の低学年時代、海に行くには国道2号線を南に渡ると海神社の赤い大きな鳥居があって、その下付近から白浜が波打ち際まで20~30mあり木造の小型漁船が何十隻も枕木に乗せられて船底を乾燥させていて、ワカメやじゃこが大きく広げられた筵の上で天日干しされていて生臭い匂いが浜辺全体に広がっていましたね。 “Cover Story 《海》 北 博文” の続きを読む

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原発を考える《核のごみ最終処分場の行方》文 井上脩身

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――手を挙げた北海道2町村の問題点――
 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けての文献調査に関し、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で実施される可能性が浮上した。この調査を受け入れる自治体には国から最大20億円が交付されることになっており、この2町村はカネ欲しさに手を挙げたのだ。核のごみの処分場がないことについて、「トイレのないマンション」と揶揄されて久しい。そのトイレの見通しのないまま原発大国を目指した自民党政府は、原発立地と同様、過疎の貧困自治体に札びらをちらつかせるという、あこぎな手段に打って出たのである。この二つの町村のいずれかが最終処分場になれば、核燃料は10万年先までその地下に埋められる。日本は世界有数の地震大国である。地下が安全と言い切れるはずがない。そのリスクを負わされるのは未来の人たちだ。「トイレから汚染物が漏れ出してもオレたちの知ったことでない」と言っているに等しいではないか。何という無責任で無恥な国であろうか。

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読切連載 アカンタレ勘太 7《しらゆき雪ひめ》文・挿画 いの しゅうじ

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しらゆき雪ひめ

 イッ子せんせいは、いつもの顔にもどっている。
「クラタせんせいはただのお友だちよ」
二人は若い教師でつくる「新しい教育を考える会」のメンバーだという。
がっこうがおわって、テッちゃんと勘太が帰ろうとすると、タミちゃんがかけよってきた。
「イッ子せんせいの言うこと、マにうけたんか」
タミちゃんは教室にのこっていたヒロ子をよんだ。
リブレバレイ教室にかよっているヒロ子は「あのことやね」と目くばせした。
「らいげつ、バレエきょうしつのはっぴょうかいがある。イッ子せんせいに招待券を二枚わたすねん」
タミちゃんはにやっとした。
「イッ子せんせいがクラタせんせいと見にきたら、友だちいじょうということがはっきりするやん」
つぎの日、
ヒロ子はイッ子せんせいにバレイの券を手わたした。券にかかれているプログラムは、
「しらゆき雪ひめ」
「まちがいじゃないの」
ヒロ子はフフフとわらった。
「見たらわかります。したしい人ときてください」
イッ子せんせいから「見に行く」の答えがかえってきたので、武史を中心にさくせんをねった。
一番前のまんなかの二つのせきを「予約席」にしてかくほ。そのりょうがわにユキちゃんとタミちゃん、男子はうしろのせきにじんどる。
「二人のようすがわかるはずや」
と武史。
はっぴょう会は市のホールでひらかれた。
「予約席」のはりがみをするのは勘太のやくめ。勘太はまっさきにホールにきて、せきに紙をおいた。
はりがみが何かのひょうしにおち、だれかが一つよこのせきにのせた。
とは勘太は知らない。
まくがあく少し前に、イッ子せんせいがやってきた。クラタせんせいといっしょだ。
イッ子せんせいはタミちゃんを見て、
「こんたん見え見え。だったらいっそのことと、クラタせんせいをさそったの」
二人が一番前のせきに行くと、二つの「予約席」がとなりあっていず、その間に一つのせきがある。
イッ子せんせいが「あら?」と小さくおどろいた。勘太が予約席のところにいくと、クラタせんせいが、
「勘太くんやね、たしか。ここにすわればいい」
と、間のせきに座らせた。
勘太がイッ子せんせいとクラタせんせいの間にわりこむかたちだ。
「こんなん、あきません」
と、せきを立としたとき、
「しらゆき雪ひめ」
がはじまった。
王女においだされて、森のなかで七人の小人とくらす白雪姫は、毒リンゴを食べてたおれる。そこに王子さまがとおりかかり、二人はむすばれる。
というおはなし。
リブレバレイきょうしつでは、白雪姫と王子さまは高校生くらいの子がえんじるのがならわし。ところが、ヒロ子がぐーんとじょうたつしたので、「小学生にも姫をやらせてみよう」ということになった。お姉さんは「白雪姫」、ヒロ子は「しらゆきひめ」だ。
一つのぶたいで「白雪姫」と「しらゆきひめ」が同時におどるのは、教室はじめって以来のこと。
(新しい時代になったんだわ)
イッ子せんせいの胸はきゅんとなっている。
ヒロ子のしらゆきひめがクルクルまいだした。
はなやかさでは、お姉さんの白雪姫にはとてもおよばないが、体いっぱいにつやつやとはねる。
いよいよ、おひめさんが王子さまとおどるクライマックス。というのに、テッちゃんは前にいる勘太の頭をこずいている。
「なんでせんせいの間にすわったんや」
イッ子せんせいはクスクスわらっている。

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