読切連載アカンタレ勘太 8《アトムごっこ》文・挿画  いのしゅうじ

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アカンタレ勘太 1-7

 

アトムの矢

アトムの矢

テッちゃんが自分のせきにつくなり、
「おもしろいんや」
と、カバンの中から一さつの本をとりだした。「少年」というまんがざっしだ。
ページをめくって、テッちゃんは「これや」と勘太に見せる。
『科学まんが 鉄腕アトム』という題で、ツノが二本でているようなかみ形の、たまごみたいな目をした男の子がえがかれている。
「てづかおさむ(手塚治虫)のまんがや」
テッちゃんはとくとくという。
「アトムはロボット。最初はアトム大使やった。ことしから鉄腕アトムになったんや」
武史がまんがをのぞきこんだ。アトムが月にむかってとんでいる。
「アトムごっこやろう」
とテッちゃんがいいだした。
「アトムをつくるんや」
「ロボットなんかつくれるわけないやろ」
といったやりとりがあって、
「弓をやろう。矢のさきにアトムの絵をつける」
と、ちえをだしたのは武史だ。
隆三のおとうさんに弓と矢の材料をたのむと、おとうさんは十人分そろえてくれた。
つぎの日曜日。武史の家で勘太とテッチャンが弓づくりにかかっていると、タミちゃんがユキちゃん、ヒロ子をともなってやってきた。 “読切連載アカンタレ勘太 8《アトムごっこ》文・挿画  いのしゅうじ” の続きを読む

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山陽道・明石宿《蕪村の足跡をたずねて》文・写真 井上脩身

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蕪村が自らを描いた絵(『蕪村 放浪する「文人」』より)

ようやく春めいてきた。コロナ禍のなか、巣ごもりがつづいていたので、海が見たくなった。ふと「春の海――」という蕪村の句が頭をよぎった。讃岐に行く途中、須磨で詠んだといわれている。ならば明石宿で泊まったのではないか。芭蕉の句に「蝸牛角ふりわけよ須磨明石」がある。江戸の俳人は須磨と明石をひとまとめに捉えていたようだ。おそらく須磨で源平合戦を想い、明石で海の幸に舌つづみをうったのであろう。「宿場町シリーズ」ではたびたび芭蕉をとりあげてきた。明石は旅多い芭蕉の生涯の西端の地とされているが、今回はあえて須磨・明石で蕪村の足跡を探った。 “山陽道・明石宿《蕪村の足跡をたずねて》文・写真 井上脩身” の続きを読む

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コロナ《アメリカファーストからの転落~コロナ蔓延世界最悪の意味~》井上脩身

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コロナ菌

昨年2月24日、イタリア保健省は新型コロナウイルス感染例が229件にのぼり、6件の死亡例があると発表、イタリア北部は事実上封鎖状態になった。コロナは次いで地中海を越え、アフリカで蔓延するであろうと思われた。しかし、その予想は外れた。新型コロナウイルスは大西洋を越えて、アメリカで猛威を振るったのである。世界一の経済大国がコロナに対してあまりにも脆弱であることにあ然とするが、このことは、アメリカが世界のファーストの座からずり落ちるときがそう遠くないことを示している、と私はみる。 “コロナ《アメリカファーストからの転落~コロナ蔓延世界最悪の意味~》井上脩身” の続きを読む

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