連載 のん太とコイナ《3 滝のぼり》いのしゅうじ


 アカダ川公園の盆踊りがちかづいてきました。
のん太のお父さんは、盆おどり実行委員会の役員です。
炭坑節や江州音頭、河内音頭などの毎年のレパートリーに加え、その年だけのおどりをまじえるのが、ならわしです。
「今年はなにがいいかなあ」
お父さんがポツリともらしました。
「滝おどりはどう?」
のん太がコイナの里でのできごとを話すと、お父さんは「それはいい」と乗ってきました。
実行委員会で「滝のぼり音頭」の曲づくりにかかりました。
「たきをドドドンのりこえて 天までドドドンとんでいく」
アップテンポなリズに合わせて手をふり、「ヤー」と両手をつき上げる、という現代的な盆おどりが生まれました。
のん太はコイナとコイキチを招きました。「じゃあ、ゆかたを着せたげなきゃ」
お母さんはコイのがらが入った布地をさがしてきて、おすもうさんが着るような大きなゆかたをつくりました。

こいのぼりが参加する盆おどりなんて、例がありません。
やぐらを二階だてにすることに決めたのはいいのですが、
「こいのぼりは天高く飛ぶんだろ。だったら上の階だよ」
「いや下の方が親しみやすい」
といったあんばいで、実行委員会でもまとまりません。
のん太がコイナに聞いてみると、「どっちでもいいわ」
けっきょく、こいのぼりは下の階、上の階でアカダ高校タイコ部にえんそうしてもらうことになりました。
タイコがドドドドと打ち鳴らされて、滝のぼり音頭が始まりました。
滝をドドドンのりこえて
コイナがはらびれを腰のあたりまで引き上げると、「かわいい」の声。
天までドドドンとんでいく
コイキチがピョーンととびはねました。
みんながコイキチをまねてとびはねます。
花火が二発ドーンと上がり、パッと大輪の花が開きました。(明日に続く)