冬の夜の昔話《樺太から戻ったコロポックル 最終回》片山通夫

アイヌ民族

 

 

 

 

 

 

 

 

アイヌ民族は日本政府による同化政策でどんどん少なくなっている。そんな中、国連は先住民の権利を認めた「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が、2007年、ニューヨークの国連本部で行われていた第61期の国際連合総会において採択された。

日本は少なからぬ政治家等が「日本は単一民族」と口走っては撤回している。つまり「過ちを指摘されて初めて」陳謝・撤回する。根底から改めるというわけでもなさそうである。アイヌ民族のみならず、わが国には琉球民族などが存在する。

注目すべきは「北海道旧土人保護法」である。この法律は明治32年3月2日法律第27号)は、北海道アイヌを「保護」する目的で制定された日本の法律である。この法律の趣旨は、押し付けられた農業を嫌って土地を捨て放浪するアイヌの窮状を救う目的で、1893年(明治26年)に加藤正之助によって第五回帝国議会へ「北海道土人保護法」案が提出、アイヌ自身も代表を送り法案成立を目指して国会に陳情し、1899年(明治32年)に制定された。この法律は貧困にあえぐ「北海道旧土人」(アイヌ)の保護を目的とし、土地、医薬品、埋葬料、授業料の供与、供与に要する費用にはアイヌの共有財産からの収益を用い、不足時は国庫から出すこと、アイヌの共有財産は北海道庁長官が管理すること、供与地の換金を防ぐ目的で相続以外の譲渡や永小作権設定の禁止などが定められていた。

高野斗志美はこれを「アイヌの財産を収奪し、文化帝国主義的同化政策を推進するための法的根拠として活用された」と主張した。常本照樹によれば、具体的には
アイヌの土地の没収
収入源である漁業・狩猟の禁止
アイヌ固有の習慣風習の禁止
日本語使用の義務
日本風氏名への改名による戸籍への編入

等々が実行に移されたとされる。

驚くことにこの法律は戦後はほとんど死文化されていたが、アイヌ民族からはじめての国会議員である萱野茂によって国会で廃止提案され、1997年(平成9年)7月1日、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(1997年(平成9年)法律第52号、アイヌ文化振興法)は国会で全会一致で可決。その施行に伴い廃止された(附則2条)。同時に、旭川市旧土人保護地処分法(1934年(昭和9年)法律第9号)も廃止された。

実に1997年・平成9年のなってからである。

アイヌ民族のみならず、琉球民族、朝鮮民族など、わが国はまごうことなく多民族国家である。
コロポックルも驚いていたと思われる。