連載コラム/日本の島できごと事典 その9《日本三大弁天》渡辺幸重

厳島神社

「日本三景」など日本人は有名なものを三つ並べるのが好きなようです。「日本三大弁天」もその一つで、いずれも島にあります。厳島(広島県)・竹生(ちくぶ)島(滋賀県)・江島(神奈川県)の3ヶ所と聞くと「なるほど」とうなずく人も多いのではないでしょうか。
弁天(弁才天/弁財天)さんはもともと仏教の守護神なので寺と神社がセットになって祀られています。大願寺・厳島神社、宝厳寺・竹生島神社、そして明治初年の神仏分離で与願寺から神社に変わった江島神社となります。弁天さんのルーツはヒンドゥー教の女神・サラスヴァティーで、仏教に取り込まれて弁才天になりました。音楽神・福徳神・学芸神で、琵琶を手にした姿は神々しいというより“愛らしい・なまめかしい”という表現がぴったりです。毎年6月に竹生島神社で『三社弁才天祭』が行なわれます。三大弁天の御朱印を集める人もいます。
竹生島は「琵琶湖八景」のひとつ「深緑・竹生島の沈影」で知られ、「日本最古の弁才天」「弁才天の発祥地」ともいわれます。能の演目『竹生島』はあまりにも有名です。江島神社は「辺津宮」「中津宮」「奥津宮」の三社があり、奥津宮は海上に造られた桟道を進んだ先の洞窟「江の島岩屋」の中にあります。役(えん)の行者が開き、空海(弘法大師)や日蓮も参籠したそうです。江戸時代には江島詣の参拝客でにぎわいました。“安芸の宮島”ともいわれる厳島では神仏分離の際に仏教的な建築とみなされ、あやうく焼却されそうになりました。
日本三大弁天に、奈良県天川(てんかわ)村の天河大弁財天社と宮城県石巻市の金華山(きんかさん)黄金山(こがねやま)神社を加えて「日本五大弁天」といいます。金華山も島です。「三年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えがあるありがたい弁天さんです。