春の宵物語《春の和歌》片山通夫

見渡せば柳桜をこきまぜて
都ぞ春の錦なりける

久方の光のどけき春の日に
しづ心なく花の散るらむ

桜花散りぬる風のなごりには
水なき空に波ぞ立ちける

あえて現代語には訳さない。今更・・・。

最後の和歌の「水なき空に波ぞ立ちける」とは「水のない空に花びらの余波がたっている」という意味だそうだ。つまり散った桜の花びらが空に漂ているというほどの意味なのか。
昔の人は難しい表現を楽しんだようだ。(古今和歌集より)