とりとめのない話 《京大に「岡」あり(K氏の思い出》中川眞須良

奈良興福寺の塔

先日、堺市内の一角(上野芝向ヶ丘町)を散策する機会があった。もちろん行き先の当てはなかった。とある辻を北へ曲がった時、見覚えのある景色だと気付き思わず立ち止まってしまった。周辺は大きく様変わりしているが以前趣味の世界での旧知の大先輩K氏の住居があった場所で、引越し先で亡くなられたとの連絡は頂いたが、当時ただ一度だけの訪問時(1981年頃)のお話しの記憶は鮮明である。
その訪問の目的はさらにその一ヶ月程前、K氏が提案された私を含む数人での奈良公園に於ける写真撮影会(カメラを持ってぶらぶら)での作品持ち寄りの写真談議であったが当日の客は私一人。通された2階応接間の大きなテーブルの前にK氏はどっかりと腰を下ろしたその手元には、当日の作品であろう一枚の写真がすでに置かれていた。私にも「早く座って持参した写真をここに並べて下さい」とすぐ当日の本題に入ろうとする姿は、いつもよりリラックスし言葉数も多くいわゆる乗りが良い。自宅という事もあるからだろう。
k氏はテーブル上の私の数枚の写真に短く感想を述べてはいたが、自分が準備した作品に早く話題を移したいという雰囲気をすぐに感じとれたので早速「ところで、Kさんの作品は・・・?」と話しを向けてみた。以下はその時の会話の概略である。 “とりとめのない話 《京大に「岡」あり(K氏の思い出》中川眞須良” の続きを読む