春の宵物語《行く春(ゆくはる) 晩春》片山通夫

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竹原・広島(イメージ写真)

過ぎ去ろうという春のことだ。晩春は「4月5日の清明から5月6日頃の立夏の前日」までということになってる。晩春は長い…? 二十四節気で見ると、5月上旬までが晩春と考えるのが良いようだ。
そこ行く春は夏を迎える時期のころと見える。初夏。春は長い冬が終わり、花が咲き鳥が啼くいわゆる陽春をイメージできるのだが、行く春は悲しい

 

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連載コラム・日本の島できごと事典 その19《日本最西端の地》渡辺幸重

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與邦国地図  地図をクリックすれば拡大

「日本最西端の地はどこですか」とたずねられると多くの人が「与那国島の西崎(いりざき)」と答えるのではないでしょうか。それは2019年(平成31)6月までは正解でした。いまでも「有人島の最西端」という意味では正解ですが、無人島を含めれば「トゥイシ」が正解になります。
トゥイシは西崎の北北西約260m、北緯24度27分5.0秒・東経122度55分57.0秒にある岩で、国土地理院は国土の東西南北端を国土地理院の2万5千分の1地形図に基づいて決定しているため、トゥイシがこの地図に記載された2019年に西崎に代わって日本最西端の地となりました。東西方向に約110mずれたことになります。日本政府は近年、領海や排他的経済水域(EEZ)を広げるためにやっきになって起点となる無人島に名前をつけていますが、トゥイシはその前から海上保安庁の航空レーザー測量に基づく海図改版(2016年)に記載され、すでに起点となっていたため最西端の地点の変更による日本の領海やEEZの変更はありませんでした。与那国島の地図を見てもらえばわかりますが、日本政府は住民の反対を押し切って2016年3月に陸上自衛隊与那国駐屯地を開設しました。移住した自衛隊員とその家族約250人は島の人口の15%近くを占めます。過酷な人頭税制度に苦しんだ象徴である「久部良(くぶら)バリ(割)」の字が地図にあるのもわかるでしょうか。税負担に耐えかねて島中の妊婦に割れ目を跳ばせ、人口調節を行ったと伝わるところです。国境の島の過酷な歴史と軍事要塞化-なんとも切ない、割り切れない思いを国土最西端の地に感じます。
ちなみに、沖縄の日本復帰前に「日本最西端の地」とされていたのは、五島列島福江島の南西約60km、男女群島の北西約35km、東シナ海に浮かぶ孤立した岩礁群「肥前鳥島」(北緯32度14分37秒・東経128度6分16秒)でした。 肥前鳥島はかつては“島”とは認められない“岩”でしたが、韓国政府が2006年頃からEEZの起点を鬱陵(うるるん)島から竹島に変更すると主張したため、日本政府が対抗して肥前鳥島を“島”に昇格し、日本側のEEZの起点とするようになったといわれます。島嶼(島や岩礁)にとって国の都合で勝手に扱われるのは迷惑千万なことでしょう。

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春の宵物語《春の和歌》片山通夫

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見渡せば柳桜をこきまぜて
都ぞ春の錦なりける

久方の光のどけき春の日に
しづ心なく花の散るらむ

桜花散りぬる風のなごりには
水なき空に波ぞ立ちける

あえて現代語には訳さない。今更・・・。

最後の和歌の「水なき空に波ぞ立ちける」とは「水のない空に花びらの余波がたっている」という意味だそうだ。つまり散った桜の花びらが空に漂ているというほどの意味なのか。
昔の人は難しい表現を楽しんだようだ。(古今和歌集より)

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春の宵物語《香炉峰の雪》片山通夫

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イメージ写真

昔、定かな時かは忘れたが、枕草子を国語なのか古典なのかで習ったとき、清少納言という女性は何とも嫌味な人だとと思ったことがある。そう、例の香炉峰の雪のくだりだ。
お忘れになられた方もおられるだろうから少し書いてみる。

雪のいと高う降りたるを例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、物語などして集まりさぶらうに、「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ。」
と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。
(清少納言「枕草子」より)

中宮・藤原定子が清少納言に「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ。」と問われて、格子をあけてミスを挙げると定子はお笑いになった。

ざっとこんなことなのだが、清少納言が自分の「功」を自慢げに自作の随筆である枕草子に書き留めたことにいやなイメージがあった。なんて自己主張の強い女性なんだと・・・。

こう思った当時は若かった。今ならそこまで考えないで、必死に生きる当時の女性の姿を「観察」するまでだ。

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春の宵物語《赤い真っ赤なハマナス》片山通夫

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田中邦衛さん・映画「網走番外地」のポスターから

先日、田中邦衛という名優が亡くなられた。事故でも大病でもなく。「網走番外地」という映画がある。彼はこの映画に出ておられたとか。1965年「網走番外地」(参考写真)第一作で「網走駅」として囚人を駅から護送するシーンのロケ地として用いられたという駅・北浜駅には行った。

ハマナスは花期は初夏から夏(6 – 8月頃)。枝先に1 – 3個ほど紅紫色の5弁花を咲かせ、甘い芳香があるらしいが、決して「赤い真っ赤な」花ではない。けれども健さんが歌う網走番外地では「赤い真っ赤なハマナスが・・」。きっと網走番外地では真っ赤なハマナスが咲くのだろう。

筆者がハマナスを知ったのは全くの偶然だ。ある先輩を琵琶湖の北の町・長浜の喫茶店で待っていた時に、ジュークボックス(古い!)から流れていたのを漫然と聞いた時・・・。

一緒にいた友人が知ってるか?と聞いてきた。無論知らなかった。
大体網走なんてよく知らない。全くとは言えないのは、高校時代の夏休みに一人で貧乏旅行をした時にチラッと立ち寄った程度だ。まさかあの網走に刑務所があってなんて知る由もない。なんでもこの歌は「網走番外地」という映画の主題歌。知らなかったけれど何か心に引っかかる歌だ。ハマナスをご存じですか?

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