連載童話《のん太とコイナ[天の川]#5》文・画 いのしゅうじ

のん太が目をさますと、のどかな海が広がっています。
たくさんのヨットが、帆をふくらませて波を切っています。
「ヨットっていいなって思うの」
コイナがしんみりといいました。
「風をうけるってことでは、こいのぼりもいっしょ。でもロープにしばりつけられて、自由がないわ。海の上ならどこへでも行けるヨットとおおちがい」
「コイナちゃんこそ、どこへでも行けるじゃないか

「こいのぼりはね、みんなどこへでも行けたの。人間に支配されるまでは」
コイナがむずかしいことを言ったので、のん太は話をかえました。
「ぼく、ヨットに乗ってみたい」
コイナが一そうのヨットにおろしてくれました。たまたま強い風がふいてきて、ヨットが沈みそうなほど傾きました。
ギャー!
コイナがおなかのヒレでのん太を救いあげました。