Lapiz2017冬号から《日光街道草加宿 》:井上脩身

煎餅かじり芭蕉をしのぶ街
「草加せんべい」で知られる埼玉県南部の草加市。都心から電車で30分のベッドタウンだ。人口約25万人のこの町は江戸時代、日光街道の宿場町として栄えた。お茶屋で一休みする旅人に名物のせんべいが好まれたという。松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出たとき、千住宿についで2番目の宿場である草加宿に「ようようたどり着いた」としたためた。日本橋から北に約16キロ。芭蕉はここに最初の宿をとったのだろうか。草加せんべいをかじりながら芭蕉の足跡をたどってみよう。そんな思いにかられて11月初旬、草加を訪ねた。

 

Lapiz2017冬号から《 breath of CITY》:北博文

 めぐりめく変化する都市光景を一期一会として感じるままにファンインダーのフルフレームで切り撮っています。
人間が利便性を探求して作り上げた都市が今や独自に生きる術を
得たかのように朝・昼・晩と表情を変えながら人の心を揺さぶり
その反応を眺めているかの様な虚実的な都市の空気感を撮らえて
行きたいと思っています。(北博文)

Lapiz2017冬号から《 カバーストーリー・だんじりを彫る男 河合申仁さん》:中川眞須良

河合さんは所謂木彫師である。工房を大阪府下岸和田市内の紀州街道沿い(本町)に構える。18歳で同市内の木下賢治氏に23年間にわたって師事した。
岸和田と言えばだんじり祭りが有名だ。だんじりには木彫が欠かせない。師匠の木下氏もだんじりの木彫を手掛けた。もちろん河合さんもだんじりあっての河合さんである。
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Lapiz2017冬号から《びえんと・立憲民主党と希望の党の明暗》:井上脩身

10月に行われた衆院選で私は2人の候補者に注目した。一人は立憲民主党から立った大阪10区の辻元清美氏、もうひとりは希望の党から出馬した奈良1区の馬淵澄夫氏だ。二人はささやかながら私には縁があるのだ。選挙中の新聞社の調査では、ともに自民党の候補者に先行し優位に立っていた。結果は辻元氏が小選挙区で当選したのに対し、馬淵氏は小選挙区で落選、比例復活もならず、涙をのんだ。両氏は1960年生まれで民主党政権時代、国土交通副大臣(馬淵氏は後、国交相に就任)を務めた仲だ。民進党が立憲民主党と希望の党に分裂した今回選挙。辻元、馬淵両氏は両党の明暗の象徴であった。
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Lapiz2017冬号から《原発を考える・原発国民投票の可能性を探る》:井上脩身

~民意に沿った政策実現に向けて~
九州電力は佐賀県の玄海原発3、4号機を2018年3月までに再稼働させる方針を示しているが、佐賀新聞が11月に県民世論調査を行ったところ、再稼働反対が賛成を上回った。各種の原発世論調査でも「再稼働ノー」の声が3分の2近くを占めており、反原発は国民世論といっても過言でない。ところが10月22日に投開票された衆院選では原発推進を掲げる自民党が大勝、安倍晋三首相は「国民に支持されている」として、再び原発大国への道を歩みだしている。現在の小選挙区制度のもとでは、国民の声が国政に反映されないことはもはや明白だ。福島原発事故後、「原発再稼働の是非を政治家に任せるのでなく、住民の意思で」と、原発国民投票法制定を求める市民団体が誕生した。福島事故から6年9カ月がたった今も署名活動を行っている。事故風化が進む中、原発国民投票は実現できるのか。問題点を探った。
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Lapiz2017冬号から《巻頭言》:井上脩身編集長

 議会制民主主義は危機にひんしているのではないでしょうか。10月に行われた衆院選の結果に暗たんたる思いにかられました。小選挙区での自民党の得票率は48・2%。半数に達していません。ところが獲得議席数は218、議席占有率は75・4%です。民意では半数の支持も得ていないのに4分の3の議席を得る。マジックというほかありません。マスコミはこぞって「自民圧勝」と伝えました。裏返せば野党完敗です。いや敗れたのは議会制民主主義ではないでしょうか。選挙は民主主義の根幹をなすものです。その選挙が民意と全くかけ離れたものであれば、民主主義は土台から崩れます。いや、安倍一強が続いている現状をみれば、もう崩れているというべきでしょう。
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