連載童話《のん太とコイナ[天の川]♯9》文・画 いのしゅうじ

 のん太が焼きイワナをかじっていると、おばあさんが、
「吹き流しがさわぎだした」

とつぶやきました。
小屋の裏に吹き流しがかけられています。のん太が外に出てみると、そのしっぽがゆらゆらしています。
「あんなのにのって見たいなあ」
とぽつんと言ったので、コイナがのせてくれました。
しばらくすると、吹き流しがはげしくゆれだしました。
コイナは小屋の屋根にあがって、板屋根がふきとばされないよう、カナヅチでたたいています。
おばあさんは尾ヒレを足のようにして歩いています。外にあったジャガイモを小屋の中にしまいこむため、まっすぐ立って、口の上にひともりのジャガイモをのせていました。
こいのぼりが歩くなんてビックリです。でものん太はふるえ上がって何も見ていません。
激しく雨がふってきたからです。嵐がやってくるきざしでした。