夏の千夜一夜物語《ツチノコ》構成・片山通夫

 蛇にしては胴が太く、柄の無い槌(つち)のような姿だというツチノコ(槌の子)。地域によってはノヅチ(野槌)、尺八蛇などと言い、横になって斜面を転がるという話から、タンコロ、ドデンコとも称されている。
生け捕りに賞金がかけられるなど、近年でもメディアで話題になるが、民俗学では、昭和40年代に、坂井久光が雑誌『あしなか』で4度の報告をしている。坂井は、生態学者の今西錦司らと、目撃情報のあった各地へ足を運んだが、お目にかかることは出来なかったようだ。今西は蛇が獲物を飲み込んで膨れた状態と理解したが、岐阜県金山町では交尾期の蛇が絡まり合ったものだという。また全く架空の生物とする向きもある。
呼び方といい解釈といい、単一の現象に還元できないところが興味深い。
(日文研妖怪DB班・中本剛二)

連載コラム・日本の島できごと事典 その35《野島断層》渡辺幸重

野島断層「ひょうご観光本部」HPより https://www.hyogo-tourism.jp/spot/result/917

 1995年(平成7年)117日・火曜日・0546分、マグニチュード7.3の兵庫県南部地震が発生しました。この直下型地震はマンションやビルを倒し、高速道路や鉄道、ライフラインを分断し、火災を起こし、神戸市を中心に死者6,434人・行方不明者3人・負傷者43,792人・住家被害約64万棟という甚大な被害をもたらしました(消防庁調べ、2006519日確定値)。これが「阪神・淡路大震災」です。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その35《野島断層》渡辺幸重” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《幽霊の話2》構成・片山通夫

その時も残業をしていたそうなのですが、足音や仕事をしているような音はしなかったそうです。
ただ、どこからかカタカタという音が絶え間なく聞こえていたそうです。

気になるので音を辿っていくと、応接室に行きつきました。ドアを開けると、さらにカタカタという音が大きくなります。 “夏の千夜一夜物語《幽霊の話2》構成・片山通夫” の続きを読む

Lapiz Online 2021秋号

雨が続いています。
被害にあわれた地域にはお見舞い申し上げます。
またコロナの今まん延とあわせて、後とも十分お気をつけてください。

Lapiz2021秋号は9月1日から掲載開始です。
お楽しみに…。

夏の千夜一夜物語《幽霊の話》構成・片山通夫

知人に聞いた話ですが、彼の勤めている会社のビルは「出る」と言われているそうです。特定のフロアだけに出るのだそうですが、そこには知人が所属する部署も入っていて、そのため何度もそれらしいものに遭遇したことがあるようです。

しかし知人曰く、お化けといっても大人しいものなんだとか。
残業をしていると、パーテーションの向こうから足音がしたり、マウスをクリックしたり、書類をめくったりする音が聞こえるそうです。
まるでそこに誰かがいて、同じく仕事をしているような雰囲気なのだとか。

自分の仕事が終わってもまだ気配がするので、挨拶してから帰ろうと覗くと、誰もいないのだそうです。
フロアを出入りするドアは一つしかなく、開け閉めすると音がするので、人の出入りがあればすぐわかるはずだと言います。 “夏の千夜一夜物語《幽霊の話》構成・片山通夫” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《六道の辻と盆》構成・片山通夫

送り火

一昨日16日、一般的にお盆は過ぎ、あちらの世界へ霊を送るための「送り火」が日本のあちこちで焚かれた。子供の頃、住んでいた村では村のあちこちの辻で送り火が夕方」日が沈むと送り火が鉦の音とともに火がつけられた。ずっと後で気が付いたが、あちこちの辻は「六道の辻」だったのかもしれない。 “夏の千夜一夜物語《六道の辻と盆》構成・片山通夫” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その34《地球上最悪の侵略的植物》渡辺幸重

ナガエツルノゲイトウ

<「地球最悪の侵略的植物」淡路島で畑に広がる><地球上最悪の“侵略的植物”各地で勢力拡大>という新聞記事の見出しにびっくりしました。地球上最悪の侵略的植物・ナガエツルノゲイトウが淡路島や奄美大島などで繁殖し、問題になっているというのです。それにしても“地球上最悪”というのは大げさな、と思いながら記事を読んでみました。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その34《地球上最悪の侵略的植物》渡辺幸重” の続きを読む

夏の千夜一夜物語《無いはずの上履き》構成・片山通夫

イメージ

これは、私が親戚のおじさんから聞いた話です。

おじさんがまだ子供だった頃。
現代のコンクリート校舎と違って、当時はまだ木造の校舎が残っていました。
おじさんの学校も木造だったらしく、廊下を歩く度にギシギシと軋む音が鳴り響き、放課後に1人で歩くのは怖かったと言います。 “夏の千夜一夜物語《無いはずの上履き》構成・片山通夫” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その33《霊場・松島》渡辺幸重

雄島の岩窟(宮城県の観光情報マガジン『GOGO MIYAGI!』より) https://gogo-miyagi.com/45

日本三景といえば、松島・天橋立・宮島です。奥州の松島は、松島湾内外に300近い島々を浮かべ、白から灰白色の岩肌と松の緑の景観から国内屈指の観光地になっています。江戸時代から景勝地として知られる松島ですが、その前は“奥州の高野(こうや)”と呼ばれ、死者供養の霊場だったことをご存知でしょうか。

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