徒然の章《「稲むらの火」の広川町を訪ねて》中務敦行

いなむらの火祭り

「稲むらの火」という言葉を聞いた方は多いと思う。地震(1854年12月23日朝)がおきた時、広村(現和歌山県・広川村)の人たちは津波を心配して、広八幡神社に避難し、被害がなかったことを喜び合った。全国で2~3000人が犠牲になった。安政の大地震と言われる大災害だ。 “徒然の章《「稲むらの火」の広川町を訪ねて》中務敦行” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その36《島の高級ホテル》渡辺幸重

 

当時の浜名湖ホテル

「島の高級ホテル」というと、最近次々にオープンしている沖縄の外資系ホテルを思い浮かべるでしょうが、今回は静岡県の島で開業した戦前と戦後の二つのホテル「浜名湖ホテル」と「淡島ホテル」を紹介します。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その36《島の高級ホテル》渡辺幸重” の続きを読む

びえんと《夫婦別姓拒否論にみる戦前回帰主義》Lapiz編集長 井上脩身

びえんと①合憲 最高裁の合憲判断に抗議の声をあげる申立人(ウィキベテアより)

選択的夫婦別姓の制度化を求める声が高まるなか、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は6月23日、別姓を認めない民法の規定を合憲とする決定をした。この3カ月余り前、「同性同士の法律婚を認めないのは違憲」とした札幌地裁の画期歴な判断との余りのギャップに私は愕然とした。札幌地裁は憲法が規定する「法の下の平等」を直視したのに対し、最高裁は我が国に今なお根強い「男性優位の婚姻」という現状を重視したのである。憲法が公布されて75年になる今、法の番人である最高裁が憲法を軽んじる判断をしたという事実を深刻に受け止めねばならない。それは戦前の明治憲法体制への回帰を、最高裁が黙認したことになるからである。 “びえんと《夫婦別姓拒否論にみる戦前回帰主義》Lapiz編集長 井上脩身” の続きを読む

《Vol. 39 巻頭言》 Lapiz 編集長 井上脩身

冒頭から個人的なことで恐縮ですが、私はいま、源頼光(948~1021年)の「大江山の鬼退治」のことを調べています。渡辺綱ら頼光四天王を引き連れ、大江山で鬼を退治したという説話は、やさしい読み物として子どもたちに読みつがれてきました。山奥から都にでてきて、若い女性をさらうなどの悪事をはたらく鬼どもをやっつける武者たち。剣をふるっての縦横無尽の活躍に、子どものころの私は胸を躍らせました。 “《Vol. 39 巻頭言》 Lapiz 編集長 井上脩身” の続きを読む

Lapiz2021秋号Vol.39のお知らせ

Lapiz2021秋号Vol.39 は9月1日から順次掲載いたします。

Lapizはスペイン語で鉛筆の意味
(ラピス)
地球上には、一本の鉛筆すら手にすることができない子どもが大勢いる。
貧困、紛争や戦乱、迫害などによって学ぶ機会を奪われた子どもたち。
鉛筆を持てば、宝物のように大事にし、字を覚え、絵をかくだろう。
世界中の子どたちに笑顔を。
Lapizにはそんな思いが込められている。

夏の千夜一夜物語《ええじゃないか》構成・片山通夫

「ええじゃないか」騒動に興じる人々。(ウイキペディア)

 空から降ってくるのは雨や雪だけでなく、時には雹(ひょう)や花粉も降ってくるが、御札や豆までとなると、気象庁も困ってしまう。ところが江戸時代に、これらが実際に降ったらしい。伊勢神宮の御札が舞い、民衆が熱狂的に「ええじゃないか」と叫び踊ったという話は有名である。(写真) “夏の千夜一夜物語《ええじゃないか》構成・片山通夫” の続きを読む