Opinion《NHKの安倍報道》山梨良平

NHKに岩田明子という記者がいる。なんでもNHK政治部記者兼解説委員だそうだ。たまたま筆者はテレビで天皇陛下の即位を祝うパレードである「祝賀御列(しゅくがおんれつ)の儀」を見ていた。もちろんテレビはNHKだった。政府発表では沿道に約11万9000人がお祝いしたとある。 “Opinion《NHKの安倍報道》山梨良平” の続きを読む

原発を考える《フクシマ後遺症》一之瀬 明 年金生活者

すでにご存じの方もたくさんおられると思う。燃料デブリとは事故によって、原子炉圧力容器(Reactor Pressure Vessel、RPV)内の炉心燃料が、原子炉格納容器(Primary Containment. Vessel、PCV)の中の構造物(炉心を支える材料や制御棒、PCV底部のコンクリートなど)と一緒に溶けて固まったものを指す。

つまり素人考えだが、底が抜けた原子炉から、燃料が周辺の構造物、格納容器から溶けたものをいうようだ。バケツに入れた水が周辺のバケツの金属などとともに穴が開いた底から漏れたということのようだ。 “原発を考える《フクシマ後遺症》一之瀬 明 年金生活者” の続きを読む

原発を考える《核のごみ最終処分場の行方》文 井上脩身

――手を挙げた北海道2町村の問題点――
 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けての文献調査に関し、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で実施される可能性が浮上した。この調査を受け入れる自治体には国から最大20億円が交付されることになっており、この2町村はカネ欲しさに手を挙げたのだ。核のごみの処分場がないことについて、「トイレのないマンション」と揶揄されて久しい。そのトイレの見通しのないまま原発大国を目指した自民党政府は、原発立地と同様、過疎の貧困自治体に札びらをちらつかせるという、あこぎな手段に打って出たのである。この二つの町村のいずれかが最終処分場になれば、核燃料は10万年先までその地下に埋められる。日本は世界有数の地震大国である。地下が安全と言い切れるはずがない。そのリスクを負わされるのは未来の人たちだ。「トイレから汚染物が漏れ出してもオレたちの知ったことでない」と言っているに等しいではないか。何という無責任で無恥な国であろうか。

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人物時計・大阪ぐりぐりマルシェ《裏方万歳!》中川眞須良

鈴木康平(スズキコウヘイ)さん 30歳

 

 

 

女性名 真央(マオ)さん
業界紙出版会社 勤務

大阪市中央区 在住

当神社でのマルシェ開催に対し、前日はあらゆる準備、当日は管理監督、閉店後は整理整頓に従事する名物男、いや、名物女?

今日はなぜ、このスタイルですか? の問に
「いつもの自分自身が消えるんです。 人格までもが、、、、」

2020年9月12日 マルシェ当日撮影

連載コラム/日本の島できごと事典 その5《与論小唄》フリージャーナリスト 渡辺幸重

与論島は鹿児島県最南端の島で、沖縄復帰前は4月28日の沖縄デーに与論島と沖縄島から船が出て北緯27度線の海上集会で「復帰要求沖縄県民大会」が開かれました。当時は観光ブームに沸いていた与論島ですが、薩摩藩政時代からたびたび疫病の流行や台風、火災などにより多数の死者が出る飢饉を経験してきました。1899 年(明治32 年)から九州島への集団移住が始まったのも前年に襲来した猛烈な台風による被害が引き金になっています。多くの人が石炭の積込み労働者として島原半島南端の口之津(長崎県)に移住し、その後大牟田市三池に転住しました。三池炭鉱の与論島出身者集落には多いときには1,200人を超える人口があったといいます。三池では与論島出身者は過酷な労働と低賃金下に置かれ、「与論人(ヨーロン)」と呼ばれて朝鮮人労働者と同様のひどい差別を受けました。 “連載コラム/日本の島できごと事典 その5《与論小唄》フリージャーナリスト 渡辺幸重” の続きを読む

読切連載 アカンタレ勘太 7《しらゆき雪ひめ》文・挿画 いの しゅうじ

しらゆき雪ひめ

 イッ子せんせいは、いつもの顔にもどっている。
「クラタせんせいはただのお友だちよ」
二人は若い教師でつくる「新しい教育を考える会」のメンバーだという。
がっこうがおわって、テッちゃんと勘太が帰ろうとすると、タミちゃんがかけよってきた。
「イッ子せんせいの言うこと、マにうけたんか」
タミちゃんは教室にのこっていたヒロ子をよんだ。
リブレバレイ教室にかよっているヒロ子は「あのことやね」と目くばせした。
「らいげつ、バレエきょうしつのはっぴょうかいがある。イッ子せんせいに招待券を二枚わたすねん」
タミちゃんはにやっとした。
「イッ子せんせいがクラタせんせいと見にきたら、友だちいじょうということがはっきりするやん」
つぎの日、
ヒロ子はイッ子せんせいにバレイの券を手わたした。券にかかれているプログラムは、
「しらゆき雪ひめ」
「まちがいじゃないの」
ヒロ子はフフフとわらった。
「見たらわかります。したしい人ときてください」
イッ子せんせいから「見に行く」の答えがかえってきたので、武史を中心にさくせんをねった。
一番前のまんなかの二つのせきを「予約席」にしてかくほ。そのりょうがわにユキちゃんとタミちゃん、男子はうしろのせきにじんどる。
「二人のようすがわかるはずや」
と武史。
はっぴょう会は市のホールでひらかれた。
「予約席」のはりがみをするのは勘太のやくめ。勘太はまっさきにホールにきて、せきに紙をおいた。
はりがみが何かのひょうしにおち、だれかが一つよこのせきにのせた。
とは勘太は知らない。
まくがあく少し前に、イッ子せんせいがやってきた。クラタせんせいといっしょだ。
イッ子せんせいはタミちゃんを見て、
「こんたん見え見え。だったらいっそのことと、クラタせんせいをさそったの」
二人が一番前のせきに行くと、二つの「予約席」がとなりあっていず、その間に一つのせきがある。
イッ子せんせいが「あら?」と小さくおどろいた。勘太が予約席のところにいくと、クラタせんせいが、
「勘太くんやね、たしか。ここにすわればいい」
と、間のせきに座らせた。
勘太がイッ子せんせいとクラタせんせいの間にわりこむかたちだ。
「こんなん、あきません」
と、せきを立としたとき、
「しらゆき雪ひめ」
がはじまった。
王女においだされて、森のなかで七人の小人とくらす白雪姫は、毒リンゴを食べてたおれる。そこに王子さまがとおりかかり、二人はむすばれる。
というおはなし。
リブレバレイきょうしつでは、白雪姫と王子さまは高校生くらいの子がえんじるのがならわし。ところが、ヒロ子がぐーんとじょうたつしたので、「小学生にも姫をやらせてみよう」ということになった。お姉さんは「白雪姫」、ヒロ子は「しらゆきひめ」だ。
一つのぶたいで「白雪姫」と「しらゆきひめ」が同時におどるのは、教室はじめって以来のこと。
(新しい時代になったんだわ)
イッ子せんせいの胸はきゅんとなっている。
ヒロ子のしらゆきひめがクルクルまいだした。
はなやかさでは、お姉さんの白雪姫にはとてもおよばないが、体いっぱいにつやつやとはねる。
いよいよ、おひめさんが王子さまとおどるクライマックス。というのに、テッちゃんは前にいる勘太の頭をこずいている。
「なんでせんせいの間にすわったんや」
イッ子せんせいはクスクスわらっている。

読切連載アカンタレ勘太 6《てつぼう先生》文・挿画 いの しゅうじ

てつぼう先生

テッちゃんは鉄棒に足をかけてぶらさがっている。
勘太から、鉄棒でクルクルまわるたいそう選手のことを聞いて、自分でもかいてんしてみようと思ったのだ。
隆三が「やめとけ」と鉄棒から引きずりおろした。
「教えてもらわんとムリや」
「教えてくれるとこあるんか」
「カブノしょうがっこうの子は、かいてんできるんやで」
カブノしょうがっこうは隆三の家から歩いて二十分くらいの山あいにある。
「もくげきしたんや」
隆三はむずかしい言葉をつかった。
さっそく、ていさつにむかった。隆三、テッちゃんに勘太、武史、裕三。いつものメンバーだ。
カブノしょうがっこうの鉄棒は、通りぞいにたっている。男のせんせいが見まわりにやってきた。ややまる顔、しゃきっとした青年きょうしというかんじ。
「あのう、鉄棒でぐるぐる回ると聞いたんですけど」
武史がせんせいにたずねると、
「きみたちはどこのがっこう?」
「オゼしょうがっこう、二年」
「宮井せんせいのクラス?」
「あ、そうです」
「イッ子せんせいってよんでるやろ」
「なんで知ってるんですか」
「まあな、ええ人やろ」
せんせいはこうていにのこっていた四人をよんだ。
「クラタてつぼうをやってくれ」
四人はさかあがりをして、鉄棒にはいあがる。オランウータンみたいに両手で棒をもつ。そして一番右の子から順に、後ろむきにくるっとまわる。頭をさげてさかさにぶらさがると、かいてんの勢いにのって前方にぴょーんととびはねる。
それは目もとまらぬ早わざだ。
勘太が目をラムネ玉みたいにして、ぼーっと見とれていると、
せんせいが、
「やってみる?」
と、ほほえみかける。
「さ、さかさになるの、ぼ、ぼくいやです」
もぞもぞした言い方がよほどおかしかったらしい。
「ひょっとして、きみが勘太くん?」
顔をのぞきこんで、
「あたり!」
ガハハとわらった。
せんせいは、みんながクラタてつぼうができるまで半年かかったという。
「小野せんしゅみたいなとくべつなせんしゅを育てるのもいいが、みんながやれることのほうがもっとだいじや」
勘太は、おねえさんが「小野せんしゅは金メダルがとれる」と言っていたのを思いだした。
カブノしょうがっこうからの帰り道。
「クラタせんせい、なんでぼくのなまえ知ってるんやろ」
勘太は首をかしげてもたもた歩く。
「イッ子せんせいと呼んでることも知ってはった」
と隆三。
「イッ子せんせいはええ人や、というてたなあ」
テッちゃんが夕やけ空を見あげた。目があかね色にそまっている。
よく日。
きゅうしょくがおわると、テッちゃんがイッ子せんせいのつくえの前にたった。
カブノしょうがっこうの鉄棒のことをはなし、
「クラタせんせいにあいました」
「え!」
「せんせいのこと、いい人と言うてました」
「……」
イッ子せんせいのほっぺが、いっしゅんぽっとあかくなった。