2018autumn 編集長が行く《狭山事件の現場周辺を歩く》井上脩身

――55年前を覆い消す新興住宅地――

今年5月18日、新聞の一面を使って意見広告がだされた。「決めての証拠ねつ造が明らかに、と大きな見出しが躍り、「東京高裁に鑑定人尋問を求めます」との要望が大きな活字で書かれている。狭山事件の再審を求める意見広告だ。このページの左隅に「獄友」と書かれたパンフレット写真が載っていて、その横に「映画『獄友』の自主上映を」の小さな見出しがついている。獄友というのは狭山事件の犯人とされた石川一雄さんら5人の冤罪被害者のことだ。私は6月初め、横浜の映画館で『獄友』を見た。「無罪を勝ちとるまで死ねない」とジョギングで体力をついえる石川さんが印象的だった。この2週間後、狭山事件の現場周辺を歩いた。 “2018autumn 編集長が行く《狭山事件の現場周辺を歩く》井上脩身” の続きを読む