連載 寒い冬の夜話《姥捨て山は丹波篠山にみる「ガンコガシ」の伝説 003》片山通夫

明月神社・丹波篠山(記事とは関係ありません)

姥捨て山とは、60歳をこした老人たちは山に捨てられたという悲しい物語。貧しくて食べるものも少なく生きてゆくことができない時代の話である。楢山節考で有名である。また遠野物語(柳田国男 著)のでんでらのにも出てくる。そんな「ガンコガシ」と呼ぶ姥捨て山の伝説が丹波篠山にもあった。

前回同様篠山新聞の記事から引用する。
兵庫県篠山市の集落「見内(みうち)」では、老人を生きたまま棺桶に入れて、集落の裏山の尾根「ガンコガシ」から谷底に向けて投げ落としていたという歴史秘話が今も住民の間に伝わっています。周辺の集落では「ガンコカシ」「ガンコロガシ」などとも。
「ガン」は漢字で「龕」と書き、遺体を納める棺や輿を意味するのだそうです。そうすると、「龕転がし」=「ガンコロガシ」から変化していった感じですかね?棺ごと尾根から谷底へ 集落に伝わる「ガンコガシ」の伝説 丹波新聞 13日4月2019年より)

記録には残っていないが、貧しかった日本の農村ではこのようなことがあちこちで行われていたのではないかと思われる。
いずれにしても「食い扶持を減らすための間引き」などと同様、残酷な話だ。