秋の夜長に聞く話《鳥居(とりい)の謎 005》片山通夫

黄泉比良坂入口

鳥居の話の最後は黄泉平坂(よもつひらさか)について。お疲れ様です。黄泉の国は地底にあると思われるいわゆるあの世である。日本神話に黄泉の国の話が出てくる。少し紹介しておきたい。鳥居の話の最後は黄泉平坂(よもつひらさか)について。黄泉の国は地底にあると思われるいわゆるあの世である。日本神話に黄泉の国の話が出てくる。少し紹介しておきたい。

黄泉(よみ)とは、日本神話における死者の世界のこと。古事記では黄泉國(よみのくに、よもつくに)と表記される。ウイキペディアによると、
『古事記』では
黄泉国には出入口が存在し、黄泉比良坂(よもつひらさか)といい、葦原中国とつながっているとされる。イザナギは死んだ妻・イザナミを追ってこの道を通り、黄泉国に入ったという。古事記には後に「根の堅州国」(ねのかたすくに)というものが出てくるがこれと黄泉国との関係については明言がなく、根の国と黄泉国が同じものなのかどうかは説が分かれる。黄泉比良坂の「坂本」という表現があり、これは坂の下・坂の上り口を表しているという説と、「坂」の字は当て字であり「さか」は境界の意味であるという説とがある。また古事記では、黄泉比良坂は、出雲国に存在する伊賦夜坂(いぶやざか)がそれであるとしており、現実の土地に擬されている。

そこで変わり果てたイザナミの姿を目撃したイザナギが、黄泉の国から逃げ帰る場面が以下のように表現されている。

『日本書紀』においては
根の堅洲國は日本書紀では根の国という。書紀においても、古事記と同様、黄泉国と根の国は別々の箇所に登場し、両者の関係は不明瞭である。しかし古事記がイザナミの葬られた地を出雲とするのに対し、日本書紀は熊野の有馬村の花の窟であるという(このことから黄泉国も熊野にあるとする考えもある)。

『日本書紀』一書第六の注には「或所謂泉津平阪 不復別有處所 但臨死氣?之際 是之謂歟」(ヨモツヒラサカという特定の土地があるわけではなくて、死の瞬間をいうのであろうか)とある。これは実際には泉津平阪という土地は存在しない、という意味であるが、あくまでも「?なのであろうか」という疑問文になっており、古伝承ではなく書紀の編集者の注釈である。これも出雲の実在の地とする古事記とは異なっている。
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写真の鳥居は東出雲にある「黄泉平坂」への入口とされる石でできた鳥居。ここでの鳥居の役目は結界だと思う。つまり葦原中国(あしはらのなかつくに)とは、日本神話において、高天原と黄泉の国の間にあるとされる現世を言う。この鳥居をくぐって黄泉の国へ行くわけである。
(この項終わり)