とりとめのない話《睡蓮池の風》中川眞須良

睡蓮

2023年5月中旬晴天の午前 あまりの心地よい風に誘われ いつもの睡蓮池を訪れてみた。例年より早く新葉が水面に浮かび上がり(浮葉) 8分咲きの花も一輪確認でき さらに成長し白と黄色の花が咲き乱れ、池の半分以上が葉の上を歩けそうな例年の池の景色となるのも間近のようだ。

また昨年は数匹の緋鯉が足元まで挨拶に来てくれたがこの日は何故か姿を見せない。水温が低いからか・・・

さらにゆっくり池をひとめぐり、昼を少し過ぎた時刻から 今日もゆっくりと流れ始めた風を正面から待ち受けるように 睡蓮の新葉の上約1メートルに ギンヤンマのホバリングにも出会うことができた。正面から見るとバックの緑に溶け込み大変見つけにくい。 風に向かって飛ぶ昆虫の特性(走風性)が顕著な場面だ。この光景もまた例年より約3週間早い。

蓮の新葉は初め水に浮く。その上を吹き渡る風の別名を荷風(かふう)と聞くが、初夏この日のように睡蓮池の水面を優しく撫でていく風を人は何と呼ぶのだろう。

その風は 今の時期 西北(にしきた)から舞い降りる。「この夏の猛暑を予感させる風」か・・・と問い返すのは今日の風には失礼だ。