とりとめのない話《音のピント合わせ》中川眞須良

イメージ

私が長く接するモノクローム写真の世界は 日常における自身のイメージトレーニングの現状、結果を目視で確認できる唯一の手段と思っている。多くの情報や経験をもとに鈍化しがちな日常の感覚を「機知の閃き」に出合うきっかけ探しの手段として蘇らせるために思いついたのが「音へのピント合わせ」である。
実践してすでに数十年、今ではこれによるイメージの発想は新しい物語、新しい世界の創造に欠かせない手段の一つと確信している。毎年梅雨入り直後のこの時期に机の引き出しの奥から取り出すものがある。
1950年当時製造のステップ音が大きい「tokyo.clock.4jewels」と刻まれているポケットウォッチである。 “とりとめのない話《音のピント合わせ》中川眞須良” の続きを読む