夏の千夜一夜物語《お墓の化け物》構成・片山通夫片山通夫

これは昔のお話。
そのまちには大きなお墓があったそうだ。そしてそのお墓に、夜になると化け物が出るというウワサがあり、だれも近づこうとはしなかった。
「化け物なんているものか!ほんとうに出るのか、オレがたしかめてやろう」
まちでも怖いもの知らずな八兵衛は、みんなが止めるのを聞かずに、夜になるとそのお墓に行ってしまった。

お墓はまっ暗で、ちょうちんの光がてらすところしか見えない。しかしうわさに聞くような化け物は出てこず、八兵衛はまったく怖くなかった。 “夏の千夜一夜物語《お墓の化け物》構成・片山通夫片山通夫” の続きを読む