原発を考える《原発事故がもたらす″心災″004》文 井上脩身

双葉町民であることを隠す

ソーシャル・キャピタルについて
ここでは、人と人のつながりがこころの健康にどう関係するかを判断する。
避難先の住民との関係について
(交流機会があるか)
2016年=はい51%、いいえ46%
2017年=はい48%、いいえ47%
2019年=はい56%、いいえ41%
(祭りや一斉清掃などの地区の行事や会合に参加しているか)
2017年=はい51%、いいえ47%
2019年=はい56%、いいえ44%。
(双葉町民であることを隠したほうが良いと感じたことがあるか)
2016年=はい50%、いいえ40%
2017年=はい46%、いいえ=39%
2019年=はい42%、いいえ47%。
(近隣住民は双葉町民であることを知っているか)
2016年=はい63%、いいえ19%
2017年=はい63%、いいえ19%
2019年=はい57%、いいえ20%。
(ゴミだしで気が引ける思いをしたことがあるか)
2016年=はい21%、いいえ88%
2017年=はい10%、いいえ77%
2019年=はい9%、いいえ89%
(双葉町民であるために悪口を言われたり、いたずらをされたことがあるか)
2016年=はい13%、いいえ76%
2017年=はい3%、いいえ88%
2019年=はい3%、いいえ84%。

2016年の調査から避難先の住民との関係に関する質問を追加。避難先の住民と交流する機会や、地区の行事に参加する人の割合が少しずつ増加の傾向がみられる。しかし2019年になっても、40%が双葉町民であることを隠したほうが良いと感じており、避難先の住民と交流を持てていないことが確認された。避難先の住民との関係構築が重要な課題であることがわかる。

さまざまな喪失とこころの関係について
(震災前と比べた同居家族の人数の変化)
2013年=2人以上減少22%、1人減少20%、変化なし48%、増加10%
2016年=2人以上減少24%、1人減少21%、変化なし42%、増加14%
2019年=2人以上減少26%、1人減少24%、変化なし36%、増加14%。
震災前に比べ、多くは同居家族が3人以上減少している。
(震災前と比べた1人当たりの住居面積の変化)
2014年=40平方メートル以上減少21%、0~40平方メートル減少27%、変化なし4%、増加49%
2019年=40平方メートル以上減少16%、0~40平方メートル減少37%、変化なし6%、増加41%
震災前に比べ、住居面積が減る人が出る一方で、増えた人もほぼ同数いることがわかる。震災後に購入した持ち家に住むようになったことがうかがえる。

主観的健康感について
(震災前と比べた年収の変化)
2013年=100万円以上減少29%、0~100万円減少43%、変化なし5%、増加23%
2016年=100万円以上減少17%、0~100万円減少26%、変化なし25%、増加32%
2019年=100万円以上減少20%、0~100万円減少39%、変化なし11%、増加30%  (明日の続く)