百鬼夜行夜話 010「九尾の狐 03」片山通夫

華陽婦人

華陽婦人とは、伝説上の妖婦であって、その正体はインド、中国、日本の三国において悪逆ぶりを発揮したとされる金毛白面九尾の狐。

紀元前11世紀頃中国殷の国に紂王とその妃・妲己がいたことはすでに書いた。紂王は妲己に骨抜きにされており妲己の思うままに酒池肉林の乱痴気騒ぎや無実の人々を残虐な処刑法での虐殺を繰り返した。これに対して反乱をおこした後の周の武王となる姫発は殷を滅ぼし、その際妲己は武王の軍師の太公望によって照魔鏡という鏡で正体を看破され、剣で引き裂かれてついには息絶える。
・・・とこれは中国の話。 “百鬼夜行夜話 010「九尾の狐 03」片山通夫” の続きを読む

百鬼夜行夜話 010「九尾の狐 02」片山通夫

妲己

前回書いたように、九尾の狐は中国で生まれた。・・・ということは朝鮮でも活躍(?)した話が残っている。朝鮮語でも「九尾狐→クミホ」とそのまま発音して恐れられた。ただ妲己のような妖艶ではなく美少女に化け男をたぶらかしその命を奪った。かなり恐ろしい…。クミホは人間になりたいという願望強く、1000人の男の命を奪って心臓や肝を食べることで人間になれると信じていたからだといわれている。 “百鬼夜行夜話 010「九尾の狐 02」片山通夫” の続きを読む

百鬼夜行夜話 008「平安時代という切り口 2」片山通夫

この時代、庶民の生活は先に述べたような驚くほど貧しい生活だったが、いわゆる貴族の生活はとても優雅だった。筆者などは高校時代の古典の授業で出てくる源氏物語に関して「光源氏の夜遊び」と揶揄したものだった。(必然的に成績は最悪!?) “百鬼夜行夜話 008「平安時代という切り口 2」片山通夫” の続きを読む

百鬼夜行夜話 007「平安時代という切り口」片山通夫

源氏物語

平安時代というと、平安文学ともいえる作品が多数ある。いわゆる王朝文学であり優雅な貴族社会が描かれている。遣唐使による大陸からの文化に加えて日本独自の文化が花開きいわゆる寝殿造りという池や広い庭があるとてつもなく優雅な生活だったことがうかがえる。 “百鬼夜行夜話 007「平安時代という切り口」片山通夫” の続きを読む

百鬼夜行夜話 006「六道の辻異聞」片山通夫

幽霊子育飴

小野 篁(たかむら)の閻魔庁出仕の話とは別に、「幽霊子育飴」と伝えられる飴を売っている店がある。
なんでも慶長4(1599)年に、鳥辺山(とりべやま:平安時代以前から京の埋葬地となっていた場所)から夜な夜な飴を買いに来る女性がいたという。 “百鬼夜行夜話 006「六道の辻異聞」片山通夫” の続きを読む

百鬼夜行夜話 005「六道の辻と黄泉比良坂」片山通夫

黄泉比良坂(東出雲)

六道の辻と黄泉比良坂(よもつひらさか)。いずれもあの世(黄泉の国)とこの世(現世)との出入口である。六道の辻は京都・東山にある六道珍皇寺境内の井戸が小野篁にとっての閻魔庁への出入り口。黄泉比良坂は日本神話に出てきて、東出雲にあり、根の国(黄泉の国)との出入口。

六道珍皇寺境内の井戸

 

小野篁にしてもイザナギにしても自由にあの世へ行ったrこの世に帰ってきたりして、ほんと、自由人のごとくにふるまう。もっとも黄泉の国へ行ってきたいとは普通の人は思わないとは思う。

 

 

黄泉平坂  六道珍皇寺  スサノオ

百鬼夜行夜話 004「小野篁、閻魔庁でアルバイト」片山通夫

六道珍皇寺

 

小野篁が閻魔庁で夜な夜なアルバイト、つまり閻魔大王の補佐官のようなことをしていたことは前回書いた。彼が朝廷の館から閻魔庁へ行くには、「六道の辻」という辻を通って行った。その六道の辻は京都東山に今も実際に存在する。その場所こそあの世とこの世の分かれ道である。

 

 

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「百鬼夜行夜話 001」片山通夫

百鬼夜行夜話の最初は大江山に向かった。

鬼の交流博物館入口の鬼

大江(おほえ)山いく野の道の遠(とほ)ければ まだふみもみず天の橋立
訳:大江山を越え、生野を通る丹後への道は遠すぎて、まだ天橋立の地を踏んだこともありませんし、母からの手紙も見てはいません。有名な百人一首にある。しかしどうもここに出てくる大江山とは違うようだ。天橋立なんぞが出てくるし、てっきりと思ったが「丹波国桑田郡(現在の京都府西北部)の山。鬼退治で有名な丹後の大江山とは別。大枝山とも書く」とあった。(ややこしい) “「百鬼夜行夜話 001」片山通夫” の続きを読む

新連載「百鬼夜行夜話」片山通夫

百鬼夜行絵巻

「スサノオ追跡」と、それに続く「渡来人たちの宴」が一応の終わりを見た。さてと思って次のシリーズを考えたのが、時代は奈良時代を超えて平安時代に飛び、百鬼夜行の京の町を歩くことにした。以前、陰陽師・安倍晴明を取り上げたことがあったが、やはり妖怪変化は興味をそそられる。 “新連載「百鬼夜行夜話」片山通夫” の続きを読む